ロシア協会が模索する“UEFA→AFC転籍案”に国内は賛否渦巻く大混乱!「CLを諦めるのか」「FIFAは譲歩しない」

2022年12月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

RFU会長は「AFCは受け入れの準備をしてくれている」と自信

急展開をみせているロシアのAFC転籍論争。火曜日に国内での最終結論が下されるという。(C)Getty Images

 どうやら本気のようだ。ロシア・サッカー連合(RFU)のアジア・サッカー連盟(AFC)への転籍だ。

 ロシア通信社『TASS』は現地12月24日、同連盟が欧州サッカー連盟(UEFA)からAFCへの転籍に関する最終決断を、27日火曜日に行なわれるオンラインビデオ評議会で下すと報じた。

 RFUのアレクサンデル・デュコフ会長は「欧州において我々は常に強豪であり続けた。だが現在の制裁はいつ終わるとも知れず、欧州の舞台に戻れる保証はない」とコメント。RFUはロシア軍のウクライナ侵攻を受けて、今年2月28日にUEFAからあらゆる国際試合への参加禁止を通達された。クラブレベルでのチャンピオンズリーグはもちろん、ロシア代表はプレーオフに進出していたカタール・ワールドカップ予選への参戦もキャンセルされ、本大会への道を断たれている。

 EURO2024予選へのエントリーも許可されず、現時点で情勢に変化はない。チーム強化に苦心するロシア代表は、この10か月間で非公式にキルギス、ウズベキスタン、タジキスタンと3つの練習試合を実施したのみである。デュコフ会長は「国際大会への参加を念頭に入れるならば、転籍という選択肢があるだろう」と話し、「AFCは受け入れの準備をしてくれている」という仰天発言まで飛び出した。

 加えてデュコフ会長は、現在ロシア代表を率いるヴァレリ・カルピン監督の考えを代弁。「ヴァレリとは何度か話している。AFCへの転籍に関しては好意的な意見をもらっているよ」と明かした。

 一連の報道を受けて、ロシア国内は賛否両論が渦巻く大混乱をみせており、国内メディアが関係者や著名人たちの言葉を続々と紹介している。

 ロシア政府の文化スポーツ大臣を務めるドミトリ・スビスチェフ氏は「まだ議論の余地は大いにあるが、選手たちの競技力維持を第一に考えるなら、結論を急ぐべきだ。もし転籍が実現すれば、UEFAは経済的かつ競技的な観点で、ロシアという大きな損失を被るだろう」と論じた。

 さらに、元フィギュアスケートの金メダリストでロシア連邦議員のイリナ・ロドニナ氏も転籍を支持。「今回のワールドカップではアジアやアフリカ勢の台頭が顕著だった。ロシア人選手に対する考え方に歩み寄りがあるならば、アジアへの転籍は良いもののように感じられる」と言及した。
 
 一方、国際主審であるセルゲイ・カラセフ氏は「チャンピオンズリーグを諦めろと言うのか? 審判にとっても選手にとってもきわめて厳しい判断になる」との声明を寄せ、元ロシア代表GKのセルゲイ・チェプチュゴフ氏は「何を焦る必要があるんだ。一大事だろう。砂時計を置いてじっくり議論すべきだ」と諭した。

 そして、2002年日韓ワールドカップにロシア代表GKとして出場し、グループステージの日本戦にも先発したルスラン・ニグマトゥリン氏は怒りを滲ませる。「AFCに移るなんて、もし実現したら大災害だ。ロシアは欧州であってアジアじゃないだろ? そもそもアジアの国々が我々を手を広げて歓迎してくれるわけがない」と吐き捨てた。

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