神村学園の2年生SB吉永夢希に要注目! 代表での経験を糧に成長、攻撃力は全国トップクラス。「世界に自分の名前を売る」と野心満々

2022年12月09日 松尾祐希

悲願のプレミア初昇格へ王手!参入プレーオフ1回戦で大仕事

神村学園の2年生SB吉永。プレミアリーグ参入プレーオフの1回戦、金沢U-18戦でチームを勝利に導く勝ち越しゴールをマークした。写真:松尾祐希

 眩いばかりの光を放つ先輩たちに勝るとも劣らない。注目の2年生SB吉永夢希が左サイドで示した存在感は強烈だった。

 C大阪加入内定のMF大迫塁(3年)、ボルシアMG加入内定のFW福田師王(3年)を擁する神村学園が、悲願の初昇格に王手を掛けた。

 12月9日に行なわれたプレミアリーグ参入プレーオフの1回戦。金沢U-18に対して序盤から優勢に進め、前半23分に福田がヘディングシュート、同30分にはMF笠置潤(3年)が強烈なミドルシュートを叩き込んで2点のリードを奪った。

 その後はペースダウンし、追加点の4分後に中途半端な守備対応から失点。1点差で迎えた後半も一瞬の隙を突かれ、11分に同点に追いつかれた。

 そうした嫌な雰囲気を一掃したのが、DFの吉永だ。前半から4バックの左SBを担い、積極的に仕掛けてチャンスを演出。途中、3バックに移行してからは、左ウイングバックに入ってより攻撃的に振る舞うと、後半15分に大仕事をやってのける。
 
 ロングボールが前線に入ると、福田が競り勝って左サイドの敵陣深くにボールを流す。これに反応したのが吉永だった。「これはいける」。そう確信すると、持ち前のスピードで一気に前に出てボールを収める。

 GKとの1対1にも動じず、「落ち着いた状態でちょうど良いところにボールが来て、最後のフィニッシュも冷静にGKを見て流し込めた」というゴールで、神村学園が再び1点をリードした。

 吉永の得点でチームは息を吹き返し、後半28分には福田が追加点。終了間際に1点を返されたものの、リードを最後まで守り切って4-3の勝利。11日の参入決定戦に駒を進めた。

 試合後、吉永は笑顔を見せ、口ぶりからも充実感が漂っていた。

「自信がある」

 今までは持ち前のスピードを活かして攻撃参加をしても、やり切れずにゴールに絡む場面は少なかった。特に大事な試合になると、そうした悪癖が顔を覗かせて悔しい思いをしたのは一度や二度ではない。

 しかし、大きな転機が訪れる。10月上旬に開催されたU-17アジアカップ予選だ。早生まれで資格を持っていたU-16日本代表候補に7月に初選出されていたこともあり、少なからず手応えは得ていた。

 そのなかで迎えた予選では、全4試合に出場。初戦から第3戦までは左サイドハーフで起用され、試合を重ねるごとにパフォーマンスが向上。中東勢に対して怯まず仕掛け、突破と左足のクロスから多くのチャンスを作った。最終戦は本職の左SBでプレーし、自らのクロスで相手のオウンゴールを誘発して先制点を演出。「期待以上」とU-16日本代表の森山佳郎監督からも賛辞を送られ、自信を深めてチームに戻ってきた。
 

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