【J2】首位・大宮に手痛い一敗も、10人で巻き返した長崎の見るべき健闘

2015年11月02日 熊崎敬

数的不利を感じさせない、懸命のプレーで。

退場者を出しながら、この北川のゴールで1点差に。あと一歩及ばず手痛い一敗を喫したものの、長崎の粘りには見るべきものがあった。 (C)J.LEAGUE PHOTOS

 佳境を迎えたJ2の昇格争い、今節は長崎がアウェーで大宮に敗れ、6位へと後退した。
 
 立ち上がり、守りが整わない中で渡部に先制ミドルを叩き込まれ、その後、リズムを立て直したが51分に退場者を出してしまう。さらに68分にムルジャに2点目を決められてしまった。
 
 この時点で、長崎の勝利はなくなったかと思われた。
 
 というのも彼らは1試合平均失点0.56と守備は堅いが、平均得点は0.92。首位を相手に、10人で2点を挽回できるとは思えなかったからだ。
 
 だが、終盤の長崎の巻き返しは見るべきものがあった。
 
 大宮の巧みなパスに振り回されながらも足を止めずにプレッシャーをかけ続け、72分に途中出場の北川がゴールを決める。その後も数的不利を感じさせない、懸命のプレーを見せた。
 
 この粘りは残念ながら実を結ばず、長崎は手痛い一敗を喫した。
 
 中盤で存在感を見せた梶川が試合後、悔しそうに語っていた。
 
「ここからは内容云々は言ってられない。最初の失点も、完全に寄せきれなかった自分の甘さが招いてしまった。自信がないと、こういうところで出てしまうんです」
 
 たしかに先制点の場面で、マークについていたのは梶川だった。クロスの体勢に入ったところで身体を寄せた瞬間、左足に持ち替えられてシュートを撃たれてしまった。
 
 もっとも、これは決めた渡部を褒めるべきゴール。それに終わってしまった試合を変えることはできない。
 
 そのことは梶川もわかっていて、いいことを言っていた。
 
「反省はするけど、落ち込んではいられないですよね。次は磐田。強いチームと戦いながらプレーオフを争えるいまを、幸せだと思って戦いたいですね。長崎の選手はとても真面目で、さぼらない。10人になった今日もだれもあきらめず、退場者を出したとは思えないようなプレーができた。こうやってがんばっていれば、最後にチャンスが転がってくるかもしれないですから」
 
 長崎には大宮の家長、ムルジャのようなスターはいない。だが、高木監督の下、狙いを持ったパス回しと全員が献身的に働くことで、希望とともに11月を迎えることができた。
 
 プレーオフ圏内には、タレントはいてもチームとしてまとまり切れなかったC大阪のようなチームがいる。そのことを考えると、地道に積み上げてここまでたどり着いた長崎の蓄積は、ひとつの強みと言えるかもしれない。
 
取材・文:熊崎敬
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