武藤、ワールドクラスのストライカー顔負けのフィニッシュ3発!――アウクスブルク 3-3 マインツ

2015年11月01日 遠藤孝輔

ホームチームを奈落の底に突き落とす93分でのハットトリック。

 10月31日のブンデスリーガ第11節、アウクスブルク対マインツは筋書きのないドラマのようなフィナーレを迎え、3-3の引き分けに終わった。
 
 主役を演じたのは、敗色濃厚のアディショナルタイムに起死回生の同点弾を叩き込んだ武藤だ。
 
 試合を通してイニシアチブをとっていたのは、ホームのアウクスブルク。3日前の国内カップ2回戦(対フライブルク)で3-0の完勝を収めた勢いそのままに、立ち上がりからマインツを圧倒する。2分にチ・ドンウォン、4分にフォイルナーが積極的にシュートを放つと、中盤の主導権争いも完全に制圧。ボールを支配して、攻勢を強める。
 
 しかし、先制点は防戦一方だったマインツに生まれる。18分、デ・ブラシスがエリア内でホン・ジョンホとの1対1を制して、ゴールラインぎりぎりのところからゴール前にラストパスを供給。これを武藤が倒れ込みながら左足で泥臭く押し込んだ。
 
 まさに一太刀でアウグスブルクを斬り捨てた武藤は、30分、再び大仕事をやってのける。バイタルエリアをドリブルで切り裂いたマッリからハイロを経由して、自身の足下に流れてきたボールをダイレクトで叩き、チームに2点目をもたらしたのだ。
 
 それでも下を向かずに、主導権を握り続けたアウグスブルクは42分、フェルハーフのPKで1点差に詰め寄ることに成功。そして50分、待望の同点ゴールを挙げる。緩急をつけたドリブルで右SBバログンをかわしたカイウビが左サイドから好クロスを送り、点で合わせたク・ジャチョルが昨シーズンまで所属した古巣のネットを揺らしたのだ。
 
 足を止めずにハードワークし続け、攻めに攻め込んだアウグスブルクが勝ち越したのは81分。カイウビとのワンツーでエリア内に侵入したボバディージャの豪快な左足シュートが決まり、本拠地WWKアレーナが大歓声に包まれた。
 
 しかし、これで試合は終わらなかった。
 
 20本以上のシュートを放ち、ボール支配率は終始70パーセント近くと、ホームチームが内容の伴った逆転勝利を収めるかと思われた93分、マインツがセンセーショナルな同点弾を叩き込む。
 
 エリア内でボールを持った武藤が敵をかわした直後、強烈な右足シュートを突き刺して、リーグ戦では6試合ぶりとなる勝利が目前だったアウグスブルクを奈落の底へと突き落としたのである。
 
 これまで散見されていた決定力不足が嘘かのように、ワールドクラスのストライカー顔負けの秀逸なフィニッシュを連発し、ブンデスリーガでは初となるハットトリックを記録した武藤。これでシーズン得点を一気に「6」まで伸ばしている。
 
文:遠藤孝輔
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事