「スペインを凌駕した25分間を世界は忘れない」ブラジル人記者が綴る森保ジャパンの“衝撃”。「セレソンに欲しい」と絶賛した選手は?[現地発]【W杯】

2022年12月05日 リカルド・セティオン

サネッティ「日本のおかげで面白いワールドカップになったのは確かだよ」

森保ジャパンの戦いぶりに世界から賞賛が寄せられている。(C)Getty Images

 日本代表はスタジアムを去る時、ロッカールームをきれいにしていくが、それは彼らが「礼儀正しい」からなのだとずっと信じていた。しかし、私はそれを少し疑っている。日本はロッカールームにポケモンやドラゴンボールでも隠していて、それを見つからないために掃除しているのではないか。そうでなければハーフタイム後の劇的な変身ぶりはどうにも説明できない。まあ、それは冗談としても、またもや日本は前半と後半で全く違うプレーをした。これで3試合連続だ。

 日本はスペインより強かったわけではない。ただ、25分間はスペインを圧倒的に凌駕するプレーを見せた。まるでスペインが乗り移ったかのようにボールを巧みに操り、パスを回し、勇敢に攻め、ゴールを脅かした。チームは安定し、自信を持ち、共通の目標に対する強い気持ちを感じさせた。スペインの選手を恐れさせ、そして絶望させたのだ。

 堂安律の同点ゴールは美しかった。田中碧の逆転弾は日本の果敢な攻撃が実を結んで生まれたものだった。VARのおかげで正義が行われたのは本当によかった。

 吉田麻也と長友佑都の闘志は、まさに日本人というものを語っていた。それはウルグアイの有名な"チャルーア"にも勝るとも劣らないと思った。

 世界は2-1というスコアはそのうち忘れるかもしれないが、完全にスペインを圧倒した25分間を誰も忘れないだろう。日本の戦いぶりに、世界中が衝撃を受けたのだ。
 
 私のすぐ横にはTVの解説をしていた元アルゼンチン代表のハビエル・サネッティが座っていたが、彼は試合中「Noooooo!」「神よ!」を連発していた。彼が試合を楽しんでいたのは明らかだった。

「これからどうなるかはわからないが、日本のおかげで面白いワールドカップになったのは確かだよ」

 試合の24時間前、スペインのルイス・エンリケ監督は「スペインより上のチームなど存在しない」といった。しかし彼はそれを言うべきではなかった。「スペインが上」であることを証明するために、彼は何が何でも勝たなくてはいけなくなってしまったからだ。この日本をリスペクトできない者は、誰もリスペクトできない者だろう。

 それにしてもスペインに勝利できたのは大きい。ドイツに勝ったのとはまるで意味が違う。スペインは優勝候補だ。それに勝てたということはファイナリストの実力があるということだ。もちろんスペインより上ではないが、少しでも気を抜けば足をすくうことができる。
 

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