【U-22日本代表】“ドリブラー”中野嘉大が定位置獲りへ決意の新境地開拓「ボールを取れる選手になる!」

2015年10月30日 小田智史(サッカーダイジェスト)

初めてのSBを経験。「全然満足のいくプレーができず悔しい」

29日の鳥栖戦では、右SB、左SBとしておよそ15分ずつプレー。絶対の自信を持つドリブル突破は見られなかったが、新たな目標が見つかった点は収穫と言っていいだろう。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 今回、U-22日本代表に初招集された中野嘉大のキャンプ評価は実に難しい。目に見える活躍でアピールしたかと言えば、そうではない。しかし、自身初となるSBのポジションで、左右両サイドでプレーするなどチームにもたらす新たな可能性を示したのもまた事実だからだ。

【U-22日本代表PHOTO】練習試合 対 鳥栖

「誰にも負けない」と自負するドリブルを武器に、川崎ではウイングバックとして第2ステージからレギュラーの座を掴んだ。「いずれはトップ下やFWでプレーしたい」という言葉からも、攻撃を特長とするアタッカーとしてのこだわりが読み取れる。
 
 それだけに、DF登録で招集されたとはいえ、10月27日の福岡大戦で左SBを任されたのには、似たプレースタイルの関根が右MFとして出場したのを踏まえても、少なからず葛藤があったに違いない。
 
 事実、福岡大戦で"らしさ"が見られたのは、終盤に素早いターンで相手をかわし、ドリブルでサイドから中央へと駆け上がったシーンくらい。攻撃参加の回数自体は決して少なくなかったが、初めての役割で慎重になってしまい、「もっと自分で強引に行けば良かった。全然満足のいくプレーができずに悔しい」と唇を噛んだ。
 
 中野はドリブラーとしての自分を「パスを上手く使いながら、相手の逆や裏を取るタイプ」だと説明する。ドリブルに固執せず、パスとの"使い分け"を重視しているのだが、初招集で周囲の選手にその特徴がまだ浸透し切っていないこともあり、パスを出せた場面でもタイミングが合わずに連動できなかったのだ。
 
 2度目の実戦となった同29日の鳥栖戦では、前回とは逆サイドの右SBでプレー。喜田の負傷交代を受け、77分からは左SBに回ったが、攻守ともに重要な局面に絡むことはできなかった。「前(2列目)でプレーしたい」気持ちはあるが、監督から与えられた役割に応えてこその選手。だからこそ、中野はキャンプ中に再三SBに関する質問を訊かれても、絶対に後ろ向きな発言はしなかった。
 
「川崎でできているだけじゃダメだと思った。川崎と代表はシステムも戦術も全然違うので、いろんなサッカーに適応できる能力というか、自分の中でしっかりとこのチームに合った"スタイル"を持たないといけない」
 

次ページ「アクセント」と「守備力の向上」で手倉森監督の御眼鏡に適う“武器”となれるか。

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