【広島】脇役から主役へ躍り出るために――。清水航平が抱いていた結果への「こだわり」

2015年10月25日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

アピールのチャンスで、なによりこだわった「結果」。

30分に右足でチーム2点目を奪った清水は「ゴールっていいなって思いました」と、約3年ぶりとなるリーグ戦でのゴールに歓びを露にした。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 前節、今季2試合目の出場で劇的に決勝ゴールを挙げた山岸に続いて、今節もシーズンを通じて、どちらかと言えば陰に隠れがちだった"脇役"にスポットライトが当たった。
 
「とにかく結果が出て良かったです」(清水)
 
 見せ場は早速、訪れる。15分、ハーフウェーライン付近中央でボールを持った千葉が左サイドへ展開すると、「良いボールが来たので、すぐにクロスを上げようと思った」と、ハーフボレーのような形で中央へ折り返す。このクロスからドウグラスの「スーパーなゴール」(森保監督)が生まれた。
 
 さらに迎えた30分、リーグ戦では約3年ぶり(12年9月29日対鳥栖)となるゴールを奪う。右サイドで塩谷のパスを受けたミキッチが中央へクロスを供給した時点で、「逆サイドでも点に絡める位置にいようとは思っていた」という清水は、高い位置をキープ。GKが弾いたボールが足もとに転がりこみ、一旦は低いクロスを送るも、混戦から再び目の前にこぼれてきたボールを右足で振り抜き、追加点をもたらした。
 
「もちろん守備も大事なんですけど、自分は攻撃の選手なので攻撃で魅せたい」
 
 1得点・1アシストの活躍を見せ、文字どおり勝利の立役者となった清水は、守備に奔走しつつ、あくまでも攻撃面での結果にこだわり、この試合に臨んでいた。
 
 その背景には、今季ここまでの境遇が見えてくる。
 
 森保監督に才能を見出され、12年シーズンに左アウトサイドのレギュラーに定着。その後、ここ2シーズンもある程度、出場機会を掴んできたが、今季は抜群の突破力とスタミナを誇る柏の台頭により、ベンチを温める日が増えた。
 
 そんななか、ライバルの負傷により、第2ステージの13節・FC東京戦から先発のチャンスが到来。「この機会を無駄にしないよう準備はしてきた」清水は、直近2試合では、切れのある動きと縦への推進力を披露。しかし、強烈なインパクトを残したわけではなく、「前節の出来を踏まえて、監督から自分からもっと動き出して行くように指摘されていて、中に入って積極的にシュートにいくようにも言われていた」という。

次ページ勝利の立役者に、指揮官も賛辞を贈る。

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