【日本代表 26の肖像|酒井宏樹】高い経験値に頼らず「フレッシュな気持ち」を強調。大迫ら盟友たちに勝利を届けたい

2022年11月20日 元川悦子

森保体制でも絶対的な存在として最終ラインを担う

自身3度目のW杯に臨む酒井。攻守に圧巻のダイナミズムを生み出すプレーに注目だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 いよいよ開幕を迎えるカタール・ワールドカップ。森保一監督が率いる日本代表は、いかなる戦いを見せるか。ベスト8以上を目ざすサムライブルー、26の肖像。今回はDF酒井宏樹(浦和)だ。

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「僕は(2014年ブラジル大会、18年ロシア大会に続く)三度目のワールドカップ(W杯)になりますけど、初めての大会として行きたい。いろんな経験が足かせになることもあると思うので、フレッシュな気持ちで戦いたいです」

 日本代表の不動の右SB酒井宏樹は、32歳で挑むカタールW杯で「チャレンジャー精神」を前面に押し出す構えだ。

 惨敗したブラジル大会、8強にあと一歩と迫ったロシア大会から得た教訓は数多いが、過去の経験値だけで戦おうとしていたら、ドイツ・コスタリカ・スペインという強豪揃いのグループは勝ち抜けない。

 2012~21年まで欧州で9年も戦い抜き、チャンピオンズリーグにも参戦してきた男は、厳しい現実をよく認識している。だからこそ、フレッシュなマインドでぶつかる必要性を痛感しているのだ。

 酒井がA代表デビューしたのは、アルベルト・ザッケローニ監督時代の2012年。ロンドン五輪代表で実績を積み上げ、頭角を現した若きSBの強度とタフさがイタリア人指揮官に高く評価されたからだ。
 
 とはいえ、当時は第一人者の内田篤人が君臨。控え組に甘んじ、ブラジルのピッチに立つことはできなかった。

 その後、内田の膝の状態が悪化。代表から遠ざかったタイミングで酒井が急成長。とりわけ、ハノーファーからマルセイユへ移籍した2016年夏からの躍進は目覚ましいものがあった。

 フランスでネイマール(パリSG)ら世界最高峰のアタッカーとマッチアップを繰り返したことで、上半身を巧みに使いながら完封する駆け引きと技術を体得。モンスター級のフィジカルにも磨きがかかった。

 その結果、「代表の右SB酒井」は定着し、ロシア大会を経て、森保体制でも絶対的な存在として最終ラインを担い続けたのである。

 昨夏の東京五輪のオーバーエージ枠に抜擢されたことを見ても、指揮官の絶大な信頼が窺える。しかしながら、五輪後に9年ぶりのJリーグ復帰を果たしてから、酒井は相次ぐ怪我に見舞われるようになる。

【W杯PHOTO】ついに開幕!カタールに集結する各国サポーター!
 

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