打倒ドイツの肝は“キーマン封じ”。大役を担うべきは長友佑都。原点回帰で強固な守りを徹底的に見せてほしい

2022年11月20日 元川悦子

カナダ戦敗戦もポジティブに受け止める

4年前と同様、派手な金髪で大会に臨む長友。ドイツ戦に向けては「楽しまないと損」と意気軒高だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 カタール・ワールドカップ(W杯)の日本代表の命運を左右する、重要な初戦・ドイツ戦は11月23日に開催される。

 1-2の逆転負けという不完全燃焼感の濃い結果を余儀なくされた17日のカナダ戦を経て、森保一監督がチームをどう立て直していくのかが肝心だ。

 指揮官は通常、試合2日前から非公開練習を実施してきたが、今回は4日前からに変更。「森保のカーテン」を引いて、ドイツ対策を徹底させる構え。いよいよ本番モードに突入していくのだ。

「過去3大会を振り返っても、初戦の前の試合が良くないほうが、良い結果を残せるというのを僕は2大会、見ている。今回も(カナダ戦が)良い教訓になってエネルギーにできる」

 こう強調するのは、36歳のベテラン、長友佑都(FC東京)だ。彼が指摘する通り、16強入りした2010年の南アフリカW杯では直前のコートジボワール戦(0-2)に敗れ、そこから岡田武史監督の本田圭佑の1トップ起用という秘策が出て、初戦・カメルーン戦(1-0)の勝利につながった。

 もう1つ、同様にラウンド・オブ16に進出した2018年のロシアW杯では、直前のパラグアイ戦(4-2)は勝利したが、そこまでのガーナ戦(0-2)、スイス戦(0-2)の2試合が散々だった。

「課題が出たほうが修正しがいがある」とキャプテンの吉田麻也(シャルケ)も語ったが、確かに危機感を持って意思統一を図れるという意味で、カナダに敗れたことは良かったのかもしれない。
 
 そこで、長友が果たすべき役割を考えてみると、1つは経験値の注入だ。今回はW杯初参戦の選手が19人。鎌田大地(フランクフルト)のようにヨーロッパリーグ決勝のような大舞台を経験した選手もほんの一握りで、大一番のドイツ戦を迎えるに当たって過緊張になったり、本来の自分を出せなくなる選手も出かねない。

 そんな彼らを率先してサポートしつつ、一体感を作り、戦い方の方向性を確立させていくのがフィールド最年長男のタスクだ。

 もう1つ重要なのが「左のエースキラー」の仕事である。ドイツの右サイドにはヨナス・ホフマン(ボルシアMG)、あるいはセルジュ・ニャブリ、ジャマル・ムシアラ(ともにバイエルン)など強烈な個の打開力を誇るアタッカーが陣取ってくる。誰がきても強度・技術・駆け引き・戦術眼に優れ、手強い相手だ。

 カナダ戦を見ても、相手のディジョン・ブキャナン(クラブ・ブルージュ)の縦の突破力に日本の左サイドが翻弄され、繰り返しCKを与え、その流れからリスタートで失点している。こういった形を招かないように、目の前の相手を完封する必要があるのだ。

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