代表OBも「奇妙」と疑問視。名古屋の守護神ランゲラックはなぜ豪州代表のW杯メンバーに選ばれなかったのか【コラム】

2022年11月19日 サッカーダイジェストWeb編集部

一時は代表引退を表明も9月のNZ戦で復帰

豪州代表のW杯メンバーから落選したランゲラック。正GKライアンの完璧な代役になりうる実力者のはずだが…。(C)Getty Images

 カタール・ワールドカップ(W杯)の日本代表メンバー発表で、森保一監督が「難しい選択になった」と発言したように、オーストラリア代表のグレアム・アーノルド監督も難しい決断を迫られたはずだ。

 例えば、W杯予選に出場し、メンバー入りも予想されていたが選外となったFWアダム・タガート。セレッソ大阪加入後は怪我に苦しみ、2019年に水原三星でKリーグ得点王に輝いたシーズンのようなプレーは見せられずにいたため、落選は理解できる。

 しかしなぜ、名古屋グランパスのGKランゲラックは選ばれなかったのだろうか。

 ランゲラックは昨年、「オーストラリア代表の活動を行なうと、新型コロナウイルスの感染症対策などの厳しい制限で家族と長く離れる可能性がある」と、代表引退を表明していた。しかし、今年9月に行なわれたニュージーランド代表との親善試合のメンバーには選出され、復帰を果たしたばかりだった。

 この試合には出場しなかったものの、彼の代表復帰は、本大会メンバー入りを確信させるものだった。しかし、発表されたメンバーリストに彼の名前はなく、GKはマシュー・ライアン(コペンハーゲン)、アンドリュー・レッドメイン(シドニー)、ダニー・ヴコビッチ(セントラルコースト)が選ばれた。

 レギュラーのライアンの選出には納得できるが、ランゲラックではなくレッドメイン、特にヴコビッチの選出は、オーストラリア国民とメディアの大多数にとって衝撃的なニュースになった。
 
 この発表に元オーストラリア代表のトミー・オール氏は「実力で選考していない」と批判し、マーク・シュウォーツァー氏も「奇妙」だと述べた。

 アーノルド監督は、メンバー発表の直後にランゲラックの落選理由について質問されると、以下のように答えている。

「私はGKの専門家ではありません。我々にはジョン・クローリーという素晴らしいGKコーチがいて、彼はGKについて非常に理解しています。彼のプロセスを信用しなければいけません。

 ミッチ(ランゲラック)は素晴らしい男で、優秀なGKです。彼を(9月に)呼び戻したのは、もし他のGKの誰かに何かあったらどうするのかと考えたからです」

 決断はクローリーGKコーチによって下され、ランゲラックは怪我人などが出た場合のみ選ばれる可能性があったと推測できる。
 

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