失望の中に光明も。カナダ戦の敗戦から導き出す「ドイツ戦のベスト布陣」【森保ジャパン考察】

2022年11月18日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

鍵はハイプレスではなくミドルプレス

久保、三笘、鎌田を共存させるなら、これがひとつのやり方か。

 2022年11月17日、カタール・ワールドカップに向けて最後のテストマッチに臨んだ日本はカナダに1−2と敗れた。CKとPKからの失点は"お馴染みの風景"で、正直、驚きはない。課題のセットプレー、これまた課題の自陣エリア内での守備で脆さを露呈すれば、負けて当然。「何をやっているんだ」と叫びたくなるくらい、ストレスが溜まる試合でもあった。

 柴崎の絶妙なパスからの相馬の先制点こそ見事だったが、試合を通してみればネガティブな面のほうが目に付いた。特にプレスの掛け方。前半途中からボールの取りどころが定まらず、カナダの攻撃を上手く抑えられなかった。遠藤、守田、三笘、冨安と主力候補4人が欠場していたとはいえ、情けないゲームだったと言えるだろう。

 ただ、ドイツ戦に向けて光明も見えた。久保、相馬、上田、鎌田のコンディションは悪くなく、試合終盤にテストした3-4-2-1システムがそれなりに機能。さらに、発熱で合流が遅れていた三笘が現地時間17日にドーハ入りするとの情報もある。以上の要素を踏まえて、ここで考えてみたのがドイツ戦のベスト布陣である。賛否があるのは承知の上で、形として浮かび上がったのが次のようなものだ。

 システムは3-4-2-1で、GKはシュミット。権田以上にハイボールに強く、相手のセットプレー、特にCKの場面で活躍が見込めると判断しての抜擢だ。9月のエクアドル戦でPKをストップしている点も加味すれば、ドイツ戦でゴールマウスを任せる価値はあるだろう。

 3バックは右から板倉、吉田、冨安。ボランチの2枚は遠藤と守田で、右ウイングバックは伊東、左ウイングバックが三笘になる。シャドーの2枚は久保と鎌田で、CFは上田という布陣だ。怪我明けの板倉はカナダ戦を見る限り、ドイツ戦はフル出場も可能か。

 


 鋭い縦パスとロングフィードを巧みに使い分けて局面を打開するドイツ相手に、ハイプレスはおそらく有効策ではない。例えばGKノイアーのところまで突っ込んでいけば、正確無比のロングフィードでCBの裏のスペースを狙われ、一気にピンチとなるからだ。

 参考にすべきは、9月のネーションズリーグでドイツに完封勝利したハンガリーの戦い方だろう。ドイツの最終ラインはある程度放置し、ミドルプレスで相手の前線と中盤を封じて拮抗した状況に持ち込めれば勝機が膨らむ可能性はある。確実に抑えるべきは、キミッヒとギュンドアンの両セントラルMFであり、ここに供給される縦パスをできるだけ遮断するような守り方がマストになるだろう。カナダ戦のように狙い所もなくフラフラとプレスをかけるようなやり方なら、まるで意味がない。ドイツの心臓を潰す、そうした目的をチームとして共有しなければ、蹂躙されるだけだ。

 吉田はあくまでカバーリング専門。対人は冨安、板倉、さらに遠藤や守田に任せて、常に数的優位な状況を作り出せるよう、統率者的な役割を担うべきだ。少なくとも、裏のスペースにボールを蹴られて、吉田が相手FWと1対1で並走する展開はできれば避けたい。特にムシアラのドリブルは要注意で、エリア内で安易に足を出せばPKを献上する恐れもある。
 

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