なぜフランス代表のW杯メンバーは1人少ない「25人」だったのか? デシャン監督の“頑固なこだわり”に世論は納得できず…

2022年11月13日 リカルド・セティオン

本来ならば23人だけでこのワールドカップを戦いたかった

26人の枠を最大限使わない決断をしたフランス代表のデシャン監督。(C)Getty Images

 カタール・ワールドカップ開幕まで10日を切り、各国代表のメンバーが次々と発表されている。

 W杯の登録メンバーはこれまで23人だった。しかし今大会に限ってはその数が3人多い26人になっている。これはコロナに対する対策であるとFIFA(国際サッカー連盟)は説明。ほとんどのチームはこの増員を歓迎している。

 しかし、11月9日にメンバーを発表したフランス代表のリストには、25人の名前しかなかった。現時点で26人マックスを連れて行かないのはフランスだけである。これにはフランスのサポーターもメディアも驚いた。

 W杯は参加するだけでも大変なことだ。そのビッグトーナメントで、選手としても監督としても優勝するというのはとんでもない偉業であり、史上3人しか達成していない。ブラジルのマリオ・ザガロ、ドイツのフランツ・ベッケンバウアー、そして現フランス代表監督のディディエ・デシャンである。

 3大会連続で母国を率いるこの指揮官を、フランス人は非常にリスペクトしているし、彼の言うことには耳を貸す。しかし、今回の招集ばかりは納得がいかない。記者会見でデシャンは「25人いれば十分だから」と説明したが、それでは何も分からない。

【画像】ポグバやカンテが外れても豪華絢爛!フランス代表のW杯メンバー25人をチェック
 実をいうと、デシャンはFIFAが登録選手数を26人に増やしたその日から、この方針に反対の姿勢をとっている。コロナはその言い訳にはならない。26人は多すぎるというのだ。

 規律を重んじるこの指揮官は、小さなチームを率いるのが好きで、22人が最適の人数だと信じている。まあ23人でも良しとしよう。しかし26人は多すぎる。なぜならチームの人数が多ければ多いほど、それだけ一人にかける時間が少なくなるからだ。チームプレーも複雑化する。

 本来ならば、デシャンは23人だけでこのワールドカップを戦いたかった。しかし、信念を曲げて25人にしたのは、ひとえに怪我人のせいだ。ポール・ポグバとエヌゴロ・カンテが故障で招集外。そのうえ、ラファエル・ヴァランヌとプレスネル・キンペンベ、ジュル・クンデも故障を抱えているため、万全ではない彼らをメンバーに入れる代わりに、保険として2人多く選手を入れたのだ。
 

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