【カタールW杯|E組展望】大事なのは初戦。“100%”ではないドイツとスペインに、日本とコスタリカはどう挑むか

2022年11月12日 河治良幸

積極的な選手起用で競争力を高める

“二強体制”を打ち破れるか。左からペドリ(スペイン)、鎌田(日本)、ミュラー(ドイツ)、ナバス(コスタリカ)。(C)Getty Images

 11月20日に幕を開けるカタール・ワールドカップ。4年に一度の大舞台では、どんな戦いが繰り広げられるか。本稿ではグループごとに出場国の横顔を紹介し、決勝トーナメント進出に向けた争いを展望する。今回はグループEだ。

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■ドイツ
(18大会連続20回目の出場)

 連覇がかかった前回大会はメキシコ、韓国に敗れて、ドイツのW杯史上でも稀に見る惨敗を喫した。

 さらにベスト16で敗退した欧州選手権を最後に、長期に渡ったヨアヒム・レーブ体制が終了。バイエルンを2019-20シーズンの欧州制覇に導いたハンス=ディーター・フリック監督のもと、若いチームは成長を続けている。

 欧州予選後はネーションズリーグも含めて、2勝5分1敗と理想的な結果は出ていない。しかし、アタッカー陣など様々な組み合わせをテストしており、王座奪還を目ざす本大会に向けて、準備は進んでいる。

 懸念材料はティモ・ヴェルナー(チェルシー)が怪我で選外となったこと。その分、セカンドトップが本職のカイ・ハベルツ(チェルシー)が4-2-3-1の1トップを担うことになりそうだ。

 もう1人、大会参加が危ぶまれたレロイ・ザネ(バイエルン)も一時怪我による離脱で不安視されたが、11月になってクラブの試合にも復帰しており、左サイドで開幕スタメンの目途が立った。
 
■スペイン
(12大会連続16回目の出場)

 3大会ぶり2度目の優勝を目ざすスペイン。ポゼッションを重視した伝統的な4-3-3をベースとしながら、ルイス・エンリケ監督は積極的な選手起用でチームの競争力を高めてきた。

 昨夏の欧州選手権は優勝したイタリアに準決勝でPK戦の末に敗れたが、フェラン・トーレスやペドリ(ともにバルセロナ)といった若手が貴重な経験を詰んだ。

 そこから1年間で、さらに世代交代を進めて、ネーションズリーグやW杯予選を戦いながら、カルロス・ソレール(パリ・サンジェルマン)や18歳のガビ(バルセロナ)、ウーゴ・ギジャモン(バレンシア)などが台頭した。

 列強国の中でも若いメンバーの多いチーム構成となっている。彼らを中盤の底からまとめるのがセルヒオ・ブスケッツ(バルセロナ)で、まさしく「ラ・ロハの心臓」だ。

 不安材料はアルバロ・モラタ(アトレティコ・マドリー)の足首の負傷だ。10月29日に受傷しており、大会には間に合うと伝えられるが、貴重な大型FWだけに、マルコ・アセンシオ(レアル・マドリー)を"ゼロトップ"気味にした布陣がメインになる可能性も。
 

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