【セルジオ越後の天国と地獄】ガンバのACL敗退は、”パナソニックが負けた”とも言えるね

2015年10月21日 サッカーダイジェストWeb編集部

キャスティングの重要性は、近年のACLの結果が証明している。

タレントを揃える広州恒大をホームに迎え撃ったG大阪は、1点が奪えずに準決勝で姿を消した。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

 Jクラブで唯一の生き残りだったガンバが、ACL準決勝で広州恒大に敗れたね。9月30日に行なわれたアウェーでの第1戦を1-2で折り返し、迎えた10月21日のホームゲームでスコアレスドロー。トータルスコア1-2で、残念ながら大会から去った。
 
 ガンバは、ホームゲームで1-0、もしくは2点差以上の勝利で決勝進出を決められたけど、点を取る力がなかった。勝利が必要だったにもかかわらず、スコアレスに持ち込まれたのは、広州恒大のほうが上手くゲームをコントロールしていたということだし、宇佐美をベンチスタートさせて慎重に入ったゲームプランも、結果が出なかったという意味で奏功したとは言えないだろうね。
 
 まあ、予算規模や投資額を考えたら、妥当な結果が出た印象だ。ガンバがここまで勝ち上がったのは、ある程度評価できるけど、やっぱりこのレベルになると厳しい。キャスティングレベルに差があったと認めざるを得ないよ。
 
 500億円とも言われる莫大な資金を投じている広州恒大は、ブラジル代表クラスの助っ人や多数の中国代表を揃えていた。対して、ガンバはどうだろう。日本代表クラスの選手はいるかもしれないけど、助っ人のレベルをはじめとする総合力では広州恒大と差があったよ。
 
 新聞の見出しには、「ガンバが惜敗」と打たれるのかな。確かに1点差は惜敗かもしれないけど、慰めにはならないよね。プロは結果がすべてなんだ。この敗戦を選手だけでなく、親会社がどう感じるかが大事。個人的には、"チームが負けた"というより、親会社の"パナソニックが負けた"と言ってもいいんじゃないかと思っているんだ。
 
 極端な話をすれば、親会社のパナソニックが本腰を入れなければ、ガンバの劇的な成長はないからね。広州恒大がアジアレベルで結果を出しているのは、好景気で潤う中国企業の全面的なバックアップがあるから。彼らと勝負しようとしたら、どうしたって資金力が必要になる。その事実は、今回のガンバの敗戦だけでなく、近年のACLの結果が証明しているよね。

次ページACLで負けても責任を問われないのが一番の問題。

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