連載|熊崎敬【蹴球日本を考える】実力者たちが噛み合わないC大阪に待つは試練の秋?

2015年10月19日 熊崎敬

群馬に先制を許すもひっくり返す可能性は十分あると思われたが…。

ドリブラーの楠神など多士済々のC大阪だが、37節の群馬戦では攻守に噛み合わず手痛い敗戦を喫した。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 C大阪がアウェーで群馬に敗れ、自動昇格圏の2位からさらに遠退いた。
 
 前半を見た限り、この試合が0-2に終わるとは想像できなかった。C大阪が狙い通りの試合運びで主導権を握り、何度もチャンスを創り出していたからだ。
 
 彼らの攻撃は、ロングボールを多用するという特徴がある。これが前半は効いていた。
 
 アンカーの扇原が敵の最終ラインの背後を何度も狙い、群馬のラインを下がらせる。これで中盤にスペースができ、楠神のスピードやパブロのテクニックが生き始めた。左サイドの丸橋も何度も敵陣深く攻め上がる。
 
 だがエジミウソンが決定機を外すなど、チャンスを決められないまま前半を終えると、ゲームは思わぬ展開を見せる。前半、シュート2本の群馬に46分、スローインからのチャンスを決められ、先制点されてしまったからだ。
 
 このゴールを境にゲームは大きく動き出し、カウンターの撃ち合いの様相を呈した。これもまた予想外だった。群馬が堅実に守りを固めてくると思ったからだ。
 
 先制点で勢いがついた群馬だが、チャンスになると行かなくてもいい選手まで前に行ってしまい、中盤は空き缶のようにスカスカに。そこをC大阪が切り返していく。
 
 私はまだ、C大阪がひっくり返すが可能性があると見ていた。狙い通りの形ではないが、撃ち合いになったらタレントの差が如実に表われると思ったからだ。
 
 だが、最後までゴールが生まれることはなかった。
 C大阪は73分、中盤で精力的に働いていた秋山が負傷交代。アウトゥオリ監督は玉田、田代という実績あるストライカーを投入したが、実を結ばなかった。FWばかりが増えて、チャンスを創る選手がいなくなってしまったからだ。動きの重いエジミウソンが最後まで代えられることはなかった。
 
 単調なクロス、CKに頼った攻撃はゴールにつながらず、87分にはカウンターを切り返され、3対4の数的不利からPKを献上。0-2でタイムアップを迎えることになった。
 
「勝たなければいけないゲームを落とす」と言うが、C大阪にとって、この群馬戦がまさにそれになってしまった。
 シーズンは残り5試合、蓄積が問われる最終盤だというのにC大阪は実力者たちが噛み合わず、監督も解決策を提示できずにいる。
 
 過去3度の昇格プレーオフでは、規模は小さくても一致団結して戦う地方チームの躍進が目立った。タレントや環境に恵まれたチームが、次々と足をすくわれている。
 C大阪にとって試練の秋になりそうだ。
 
文:熊崎 敬
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事