「J1では松木玖生くらい」「エンブレムが大事すぎて…」反町技術委員長が日本サッカー界に警鐘!“愛弟子”前田大然の魅力PRも

2022年11月02日 サッカーダイジェストWeb編集部

前田は「可哀想っちゃ可哀想」

反町技術委員長が日本サッカー界の問題点を語った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 11月2日、松本山雅FCで長年監督を務め、現在は日本サッカー協会で技術委員長を務める反町康治氏がオンライン取材に対応。カタール・ワールドカップの日本代表メンバーに選出された松本時代の教え子、FW前田大然(セルティック)とGKシュミット・ダニエル(シント=トロイデン)などについて語った。

 前田の武器として知られているのが、スピードと無尽蔵のスタミナから繰り出されるハイプレスだ。速度とペースは試合終盤になっても全く落ちず、スコットランド国内でも高い評価を得ている。ただ、元松本指揮官は「それだけではない」と声高々に訴える。

「大然の特長でみんな言うのが、ディフェンスの力、プレスの力の部分。それは可哀想っちゃ可哀想。もちろんそれもあるが、やっぱり攻撃の時に、チャンスと思った時に前に出る力、スピードを持って仕掛けるところ、クロスに対してニアサイドで、相手の1つ前で触る部分。そういう良さは今所属しているセルティックでも十分出し切っている。

 スピード系のタイプは1回走ったら歩く時間が長くなって、コントロールできたらまたという場合が多い。彼の場合は連続してできる。それはあいつの持っているポテンシャル。それを上手く活かすべく、私は指導してきただけであって、今でも活きているというのは嬉しく思っている」

 前田とシュミットに共通しているのが、レンタル移籍を複数回経験している点だ。反町氏は「シュミットもレンタルで(松本に)来たし、大然は私の在籍時に水戸にレンタルで行った。そういう選手は選手生活を考えたなかで、やっぱりプレーする機会が必要だということで、非常にオープンな姿勢を持っている点がまずある」と説明。さらにそこから話を広げ、日本サッカー界の課題にも言及している。
 
「例えばブランドのあるマリノスとか、フロンターレとか、レッズとか、そういうチームに入団した時にそのエンブレムが大事すぎちゃって、レンタルを依頼されても『僕はレッズの選手ですから』と。日本のサッカーの大きな問題でもある。ポストユースで入った選手は試合機会が少なければ、どんどん自分をチャレンジさせていく姿勢が必要。この2人は、外に出て行って色々経験した。オープンな姿勢が少なからず、最後のこういう選考するとこまで来て、自分でチャンスを掴んだじゃないかなと思う。

 プレーする機会を自分で得る重要性も考えていかないと。入ってからすぐにそのチームの主軸になってやっている選手がいればいいが、実際J1を見ても高卒でフルスロットルでやっているのは松木玖生(FC東京)くらい。あとはみんなやっぱりそうじゃない。だから大然やシュミットみたいに、チャンスがあれば、外で試合機会を増やすような、そういう日本のサッカー界になってもらいたいと願っている」

 兎にも角にも出場機会。名門に入って満足していては、日本サッカーの発展に繋がらない――。反町氏はそう考えている。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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