「タケはもはやヤヌザイの比較対象ではない」ソシエダ番記者が久保建英を“ボールの魔術師”と比べて絶賛!「期待をほぼ裏切らない」【現地発】

2022年10月30日 ミケル・レカルデ

アルグアシル監督は「プレシーズンと公式戦は別物だ」

“前任者”のヤヌザイ(左)と比較し、ソシエダ番記者が久保(右)を評価した。(C)Getty Images

 アドナン・ヤヌザイは、ボールの魔術師にして、レアル・ソシエダの歴史の中でも屈指のテクニシャンだ。ソシエダ時代は、練習中に超絶スキルを見せては、チームメイトを驚かせていた。

 ただ肝心の試合になるとゴールに直結するプレーが少なく、周囲に待望論が起こるたびに、イマノル・アルグアシル監督は「プレシーズンと公式戦は別物だ」と釘を刺していた。

 今年6月に契約満了に伴いソシエダを退団したヤヌザイは、双方の間で延長する方向で話が進んでいた。事実、昨シーズン中にヤヌザイは2度、残留の意思をクラブに伝えている。

 しかしいざ契約書にサインする段階になると難色を示し、そうこうしているうちにシーズンが終了。「君はチャンピオンズリーグのレベルにある」、「もっと上のチームを目指せ」と代理人からたきつけられて、決断を躊躇していたのが実情だった。

 この段階でソシエダは、契約延長オファーを撤回。ヤヌザイは新天地探しに着手したが、なかなか意中のクラブからオファーは届かなかった。最終的な落ち着き先は、安価な移籍金でアタッカーを探していたセビージャだった。しかし獲得を要望したジュレン・ロペテギは早々に監督の座を追われ、後任のホルヘ・サンパオリの下ではベンチウォーマーに甘んじている。

「素晴らしい能力を持っている。でもそれとは別にクラブとチームが直面している現実がある。重要なのはチームに対してコミットする姿勢だ。それを試合中の様々な局面で見せることが、出番の増加に繋がるはずだ」

 散発的な出場に留まっている理由を問われたサンパオリはこう答えたが、その説明はくしくもアルグアシルが繰り返し口にした言葉と相通じるものがあった。

【動画】「ひでーえぐられ方」「ふざけんなよ」とファン紛糾!久保建英の負傷シーン
 
 さて、前書きが少し長くなってしまったが、ソシエダがヤヌザイの後釜に獲得した選手がタケ・クボ(久保建英)だった。 アルグアシル監督のタケに対する満足度の高さは、ヤヌザイへの失望の反動でもある。タケは勤勉で、規律正しく、プロフェッショナルで、献身的だ。

 もちろん、クオリティの高さについても疑いの余地はない。ヤヌザイはソシエダ時代に適性ポジションは、トップ下であることを主張していた。言外には、ワイドに張ることが多いせいで、持ち味を発揮できないという起用法への不満があった。

 その一方で、タケはアルグアシル監督が開幕当初から中盤ダイヤモンド型の4-4-2に固定すると、その頂点となる2トップの下やセカンドトップなど様々な役割に対応。さらに試合中にシステムが4-3-3にシフトし、ウイングにポジションが移動した場合も、同じように局面を打開するプレーを見せ続けている。
 

次ページ短剣のようにサイドを切り裂いて敵の脅威に

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事