13年在籍のI神戸から仙台Lに移籍、開幕戦でいきなり1G1Aの中島依美。実績十分の32歳は杜の都でさらなる成長を目ざす

2022年10月28日 小林健志

主力流出のチームを開幕戦勝利に導く

昨季はI神戸のWEリーグ制覇に貢献した中島は恩師・松田監督を慕って杜の都にやってきた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[WEリーグ第1節]仙台L3-1EL埼玉/10月22日/ユアテックスタジアム仙台

 2シーズン目が開幕したWEリーグ。昨季を5位で終えたマイナビ仙台レディースは、なでしこジャパンのMF長野風花がノースカロライナ・カレッジ(アメリカ)へ移籍し、8ゴールをマークしたエースストライカーFW白木星が現役引退するなど主力の流出で、今季の戦いが不安視されていた。

 しかし、10月22日に行われたリーグ開幕戦ちふれASエルフェン埼玉戦では、なでしこジャパンで長年活躍し、13年在籍したINAC神戸レオネッサから移籍してきたMF中島依美が圧倒的な存在感を見せた。

 立ち上がりこそEL埼玉の前からのプレスに苦しみ、27分にセットプレーから失点を喫したが、34分に左サイドに開いた中島がボールを受けクロスを上げる。「中に味方がいるのを確認したので、放り込めば何かが起こるボールを蹴りました」というクロスはゴール前で待っていたFW船木里奈の頭にドンピシャリ。中島が船木のWEリーグ初ゴールをお膳立てし、同点に追いつく。

 これで勢いに乗った仙台Lは、43分にDF高平美優のクロスから矢形海優のヘディングシュートが決まり逆転に成功した。

 後半も仙台Lが優位に試合を進め、67分に右サイドから中央へ切り込んだ矢形からゴール前でパスを受けた中島が落ち着いて左足でシュートを決めた。「昨季INACで0得点だったんです。WEリーグ初得点を取れたので嬉しく思っています」と意外にもこれが中島にとってWEリーグ初ゴールだった。
 
 その後も中島は最後までゴールに向かうプレーを見せ続け、3-1の勝利に大きく貢献。1ゴール・1アシストで、3117人の観衆を大いに沸かせた。

 6月末にI神戸を退団した中島は当初海外移籍を考えていたが、仙台Lがオファーを出し、移籍が実現した。大きかったのはI神戸でも中島を指導した松田岳夫監督の存在だ。

 新加入会見の時から松田監督は「運動量があり努力する選手で、サッカーに向かう姿勢が若手の見本となる」と高く評価。中島はその言葉通り、若手選手以上の活動量を見せ、自陣まで戻って守備をしたかと思えば、今度はサイドやゴール前に顔を出してアシストやゴールでチームに貢献している。

 32歳と年齢的にはベテランの域にさしかかった中島がこれだけ走れば、若手も走らざるをえない。なでしこジャパンのMF宮澤ひなたや、ボランチでコンビを組む隅田凜など周りの選手の活動量も上がっていった。
 

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