【セルジオ越後】重圧を乗り越え初優勝の広島。ルヴァン杯の優勝チームにACL出場権を与えるべきだ

2022年10月24日 サッカーダイジェストWeb編集部

広島は天皇杯決勝よりもはるかに出来が良かった

後半アディショナルタイムで2得点。ソティリウはよく決めたよ。(C)SOCCER DIGEST

 ルヴァンカップの決勝戦で、広島が後半アディショナルタイムの逆転劇でC大阪を下し、初優勝を果たした。

 先制を許した広島は、C大阪に退場者が出て数的優位になったのに、試合終盤まで1点ビハインド。選手たちは、J2の甲府に敗れた1週間前の天皇杯決勝が頭によぎったんじゃないかな。試合直後のインタビューでの興奮ぶりからして、かなり重圧がかかっていたんだと思う。

 それでも、内容的にはスピードや前への意識など、天皇杯決勝よりもはるかに出来が良かった。得点はPKとコーナーキックからだったけど、PKは押し込んでいたから取れたわけだし、コーナーからの逆転ゴールを含め、ソティリウはよく決めたよ。

 C大阪も内容は悪くなく、J1の強豪同士、五分五分の展開に見えた。ただ、リードするなかで、守備の要のヨニッチが一発レッドで退場になったのは痛かったね。流れやファウルの質で、主審が最初に出したイエローカードが相当に見えたけど、今はVARがあるから"絵"で判定する。しかも、ファウルをもらったベン・カリファの倒れ方も上手だった。
 
 また、広島ベンチには急逝した工藤壮人さんのユニホームが掲げられていた。広島だけでなく柏や山口、アメリカなど、いろいろなチームで活躍した選手だ。日本サッカー界全体にとって大きな損失だし、サッカー仲間が亡くなるのは悲しい。まだ32歳、これからたくさんプレーできたのにとても残念だ。

 先週に続き、カップ戦の決勝戦を2週連続で見て、改めてルヴァンカップの価値を高めるべきだと感じた。

 ルヴァンカップは1992年から続く大会で、長い間スポンサーがついてくれているのは、日本サッカー界にとってとてもありがたい。ただ、天皇杯は優勝するとACLに出られるけど、ルヴァンカップは優勝しても国際大会への出場権という"ご褒美"はない。

 大会のステータスを上げるため、ルヴァンカップの優勝チームにACL出場権を与えてもいいんじゃないかな。天皇杯は伝統ある大会として元々価値が高いし、アマチュアのチームも参加している。もしも、大学や高校のチームが優勝したら、どうするのかな。「そんなのありえないよ」って言うのは簡単だけど、実際に優勝候補に挙げている人がほとんどいなかった甲府が優勝したのだから、考える良い機会だと思うよ。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、77歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

【ルヴァンカップ決勝PHOTO】C大阪1-2広島|ヨニッチ退場で状況が一変!ソティリウが土壇場の2ゴールで逆転優勝!

【PHOTO】圧巻コレオで選手を後押し!決勝の地・国立競技場に駆け付けたサンフレッチェ広島サポーターを特集!

【PHOTO】決勝の地、国立競技場に駆け付けたセレッソ大阪サポーター!
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事