「人間性が素晴らしい」「日本を動かすほどの人気でも…」なぜ久保建英はソシエダにすぐ溶け込めたのか。同僚たちの“証言”を番記者が明かす【現地発】

2022年10月24日 ミケル・レカルデ

タケの動画はチームメイトの大爆笑を誘った

ピッチ内外で新天地のソシエダにすぐフィットした久保。(C)Getty Images

 先月、私はレアル・ソシエダのタケ・クボ(久保建英)に独占インタビューを行なった。彼は真剣な表情で、一見したところ恥ずかしそうに、うつむきながら指定された場所に姿を現した。しかし、"仮面"を外すのに時間はかからなかった。タケはざっくばらんで、親しみやすく時に皮肉っぽく、そして終始とても楽しそうだった。

 タケが新天地に適応する上で有効なツールとなったのがWhatsAppグループのメンバー全員に送った動画だ。レアル・ソシエダでは新たに加入した選手は全員1分間のプレゼンテーション動画を配信することが一応の決まりになっている。

 例えば、ミゲル・アンヘル・モジャ(18年2月に加入)が送った通常の2倍ほどの長さの動画は好評を博し、おかげでプレシーズンに合流する前からチームに溶け込むことができた。

 タケの動画はその真面目なトーンがチームメイトの大爆笑を誘った。「僕はタケフサだ。とても長いので、タケと呼ばれるのが好きだ」。こんな調子で、タケは真剣な眼差しでこれまで何度か公言しているおしゃべり好きであることや釣りが趣味であることなどを明かしている。

「新たに加入した選手の恒例行事と言われたから協力したのに、この夏の新戦力の中でこれまでしているのは僕だけじゃないか」。インタビューでこう"愚痴"をこぼしていたが、その効果は小さくなかった。
 
 キャプテンのひとりで、おそらくチームで一番冗談好きのアリツ・エルストンドは、タケがいかにうまく溶け込んでいるかを次のように説明する。

「初対面ではかなりシャイと感じたけど、全然そんなことはなかった。僕たち全員の前でもおしゃべり好きで、チームメイトと交流するのが好きだと公言していただけのことはある。初日と2日目は口数が少なかったかもしれないけど、3日目にはすでにチームの一員になっていた。人柄がいいしね。ハイレベルなパフォーマンスを見せ、将来有望な選手であることは一緒にプレーしていても分かる。ソシエダに多くの喜びをもたらしてくれるはずだ」

 エルストンドはさらに続ける。

「練習初日から、センスの高さを垣間見せていたし、プレシーズンからアクティブにプレーしていた。ただ僕たちは入団前から素晴らしい選手であることは分かっていた。だから驚かなかった。自信を持ってプレーできる環境を手に入れたことで物事が好転している。僕たちは喜んでサポートするし、これからもきっと良いプレーを見せ続けてくれるはずだ」

 イマノル・アルグアシル監督もすっかりタケに惚れ込んでいる様子だ。「素晴らしい選手だ。才能とクオリティに溢れている。レベルの高い選手に囲まれてプレーすれば、さらに輝くことができる。中央でもサイドでもどこでプレーしても好きな選手だよ。我々の強みは、前線にクオリティが高い選手が揃っていることだ。対戦相手に応じて戦い方を変える中でも、各自が何をすべき理解し、それが多彩な攻撃に繋がっている。タケはそんなチームの中で、入団3年目の選手のようなプレーを見せている」
 

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