［ラ・リーガ第９節］レアル・マドリー ３－１　バルセロナ／10月16日／サンティアゴ・ベルナベウ

　ゴールを決めたカリム・ベンゼマもフェデリコ・バルベルデも、崩しの切り札となったヴィニシウス・ジュニオールも、中盤で躍動したトニ・クロースも素晴らしかった。

　だが、サンティアゴ・ベルナベウのファンを最も酔わせたのは、ルカ・モドリッチではなかったか――。

　周りの席にいたマドリーのサポーターを、２つのプレーで唸らせた。ひとつめは開始７分、ホームチームが最初の決定機を作り出した場面だ。右サイドから左SBのフェルラン・メンディに正確なサイドチェンジのパスを供給。このフランス代表DFからパスを受けたヴィニシウスがシュートに持ち込んだ。

　立ち上がりにバルサが二度ほどチャンスを作りかけていたなか、この一本のパスが流れを引き寄せたと言っても過言ではない。実際、ここから一気にペースを掴んだマドリーは12分にベンゼマが先制ゴールを挙げるのだ。
 

　もうひとつ、周囲のマドリディスタが感嘆の声を上げたのが52分のプレーだった。中盤の左サイドでボールを受けると、３人に囲まれながらも、いとも簡単にヴィニシウスへパスを通したのだ。そしてヴィニシウスのサイドチェンジからベンゼマがネットを揺らしたものの、オフサイドで惜しくもゴールとはならなかった。

　この２つのプレーだけではない。バルベルデがミドルで決めた追加点の起点となれば、正確かつ的確なパスワーク（『Whoscored.com』によればパス成功率は97.1％）や37歳とは思えない驚異的な運動量を披露し、極上のパフォーマンスを発揮した。

　イエローカードを受けていたこともあり、最初の選手交代でベンチに下がったものの、マドリーファンはスタンディングオベーションと「モドリッチコール」で77分間のパフォーマンスを称えた。

　その光景が、この日の出来を物語っていた。

取材・文●江國森（サッカーダイジェストWeb編集部／現地特派）

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