日本代表で南野拓実のベストな起用法は?|トップ下が適性だが…現状2番手の位置付け。ターンオーバーなら先発の可能性も【記者の視点】

2022年10月04日 サッカーダイジェストWeb編集部

“0トップ”システムなど活かす道があるはずだ

本来の実力を発揮しきれていない南野。本大会に向けたベストな起用法とは。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 日本代表の「10番」を背負う男は、カタール・ワールドカップで輝けるのか? 左サイドでも、トップ下でも、南野拓実は際立つパフォーマンスを見せられていない。本稿では、本来の実力を発揮しきれていない27歳アタッカーのベストな起用法を考察。森保ジャパンを取材する3人の記者に見解をうかがった。

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▼飯間健記者(スポーツニッポン新聞社)の見解
 森保ジャパンの立ち上げから牽引してきた背番号10は、9月のドイツ遠征で大きく序列を落とした。左サイドは久保建英が台頭。守備で高い強度を示すだけではなく、ゲームを作るプレーも披露した。そして、"ジョーカー"三笘薫のドリブル突破は、世界でも通用すると代表やクラブを通じて証明している。トップ下では鎌田大地がタメを作り、フィニッシャーとしても存在感を発揮した。

 南野はアジア最終予選で、左サイドでもゴール前での仕事ができるように工夫していたが、どうしてもピッチ中央に寄ってしまう傾向が強く、"左のポジション"のタスクをこなせていたとは言いがたい。

 最も輝けるポジションは、本人も口にしているようにトップ下。だが、9月の親善試合のエクアドル戦のようにスピード系FWとはコンビネーション構築が難しく、大迫勇也のような起点になれるタイプが最前線にいなければ良さは半減してしまう。そして、日本代表での17得点は全てスタメン時に挙げたもの。途中出場で流れを変えられるタイプではないとも考えている。

 ただ、落選か?といえば違う。鎌田以外でトップ下が務まるのは南野しかいない。そして忘れられないのが、コロナ禍によって海外組だけでメンバーが組まれた2020年11月の親善試合パナマ戦。1トップの位置にいながら流動的に動き回り、またエリア内に侵入した時は脅威になった。

"0トップ"システムは、2020年11月以降トライしていないが、南野のクイックネスや決定力、混戦での強さを活かす道があるはずだ。ちなみに大会直前で1トップに据えられて大ブレイクした2010年南アフリカW杯の本田圭佑の例もある。
 
▼唐沢裕亮記者(東京新聞)の見解
 W杯を2か月後に控えての「4-2-3-1」回帰には、チャンピオンズリーグ(CL)で好パフォーマンスを見せる鎌田大地をトップ下で活かそうとする"鎌田シフト"も色濃くのぞく。

 ただ、トップ下を置く布陣は南野拓実にとっても都合はいい。ゴールに正対できる中央の位置は、シュートのうまさや細かい連係でボックス内に入り込んでいく持ち味をより活かしやすい。トップ下や、下がり目の2トップの一角としてストライカーの周りを衛星的に動いてチャンスメイクしつつ、自ら仕留め役も担うというのが適任に思える。もちろん、その役割では今のところ勢いに勝る鎌田に分があり、先発をつかむのはたやすくなさそうだが……。

 スピードやドリブルを武器に途中出場から流れを変えるタイプという感じではなく、先発のほうが特長を出しやすそうだが、現状ではトップ下の2番手の位置付けか。森保一監督は、W杯中のターンオーバーも示唆していて、鎌田と交互に使っていくのであれば先発の可能性は出てくる。

 9月のアメリカ戦では久保建英が左サイドを任され、攻守の1対1で強さを示した。トップ下を主戦場とする久保を両サイドに置ける目途が立った点も、南野の中央での起用を後押しするかもしれない。
 

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