【浦和】加入したばかりで緊張しまくる高木俊幸を“救った”のは日本代表GK西川周作の…

2015年10月10日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

今年2月、アジアカップから合流した守護神と指宿キャンプで同部屋になる。

大人しい高木が浦和にすっと溶け込めたのには、西川の存在があった。写真:サッカーダイジェスト

 今季浦和に加入した高木俊幸が、2月の鹿児島指宿キャンプのホテルで同部屋だったのが、日本代表のGK西川だった。
 
 浦和の守護神はアジアカップに出場したため、宮崎でのチームの1次キャンプには参加していなかった。そのため、高木は西川と対面した直後、さっそく同じ部屋で過ごすことになったのだ。
 
 高木のなかでは様々な想像が先行し、「いつも笑っている印象だけど、日本代表の選手だし、一緒にいたら緊張するのかな。本当に優しいんだろうか、実は練習以外は怖かったりしたら……」と、かなりそわそわしたそうだ。
 
 ところが、むしろ高木のほうが、合流した直後の西川の大きな笑みに迎えられる形になった。
 
「やはりイメージどおり優しくて、とにかくウエルカムモードで(笑)。さっそくいろんなことを話すようになり、とても助かりました」
 
 なにより生来の波長があった。
 
「(西川)周作さんも、僕もマイペースなところがあり、一緒にいて、とても自然でいられた。カッチリしているタイプの方だったら、どこか緊張していたかもしれない」
 
 もちろん言葉の端々には、日本一の守護神の座を狙う男のこだわりであり、向上心が感じられた。その刺激に満ちた日々が、浦和で戦うための礎にもなった。
 
 高木に対する"ウエルカムモード"は、西川だけではなかった。
 
「若手だからみんなからほっとかれて、必死について行く感じになると思っていたけど、1次、2次キャンプと、どんどん輪の中に入れてくれて、打ち解けられた。これがレッズの強さの要因でもあるんだと思った」
 
 シーズンが始まると、決して順風満帆とは行かなかった。それでもピッチに立ち、仲間を信じて前線へ走り込むと、必ず足もとに正確なパスが来た。
 
 俺のことを信じてくれている――という想いが、その1本1本のパスから伝わってきた。
 
 そして第2ステージ10節・柏戦の88分、リーグ戦"15試合目の正直"にねじ込んだ初ゴールが、決勝点となった(浦和が1-0の勝利)。
 
「悔しさも、重圧も、不運も……すべてが、この日のためにあったのかなと思えた」
 
 高木は笑ってそう振り返る。そんな前向きな言葉は、とにかくポジティブ思考だと言う西川とも重なる。
 
 槙野、宇賀神、武藤、後方から駆け寄った西川、ベンチにいるメンバー、そしてゴール裏の歓喜に揺れる真っ赤なレッズサポーター……自身のゴールによって生まれた歓喜の大輪は、高木にとって、ひとつの勲章になった。
 
 第2ステージの4試合、そしてチャンピオンシップを残すのみとなったシーズン終盤、1ゴールの重みは一段と増す。日々着々と浦和のスタイルにフィットする高木が迎える大一番で、ひと仕事をやり遂げ、西川のような大きな満面の笑みをたたえる日が――必ずや訪れるはずだ。
 
取材・文●塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)

※発売中の「サッカーダイジェスト」では、高木俊幸選手、梅崎司選手のインタビュー(意外な発見が多々あります)など計10ページで、特集「浦和レッズダイジェスト」を掲載しています。また、巻頭特集の「現役選手が選ぶ、歴代最強ボランチランキング」では柏木選手、青木選手がアンケートで登場。長谷部誠選手のインタビューも!! ぜひ、ご一読ください。
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