「90分間、相手に主導権は握られることはない」
エクアドル戦では厳しい戦いを強いられながらも、GKシュミットの好守もあり、ドローに持ち込んだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)
カタール・ワールドカップ、日本はかなり厳しい戦いを余儀なくされるだろう。
初戦のドイツはサッカー大国だが、日本を侮ることはない。それは彼らのメンタリティであり、日本人が実際にドイツ国内で活躍していることもあるだろう。コスタリカはプレーオフで勝ち上がってきたチームで、実力的には日本がわずかに上かもしれない。だが守護神ケイラー・ナバスを擁し、先制点を浴びると一転、守備力は高いだけに厳しい試合になる。
スペインは優勝候補の一つで、ペドリやセルヒオ・ブスケッツなど錚々たる選手を擁する。勢いに乗せたら勝ち目はない。
決勝トーナメント進出には、最低でも勝点4(1勝1分け1敗)は必要になり、それはこの組み合わせでは針の穴を通す難易度だ。
しかし一つ言えるのは、「90分間、相手に主導権は握られることはない」ということである。サッカーというスポーツの面白さで、ある程度差があっても、少しも反撃できないことはない。必ず、自分たちの時間、というのは存在し、逆説すれば、相手の流れになる、という時間も存在する。
初戦のドイツはサッカー大国だが、日本を侮ることはない。それは彼らのメンタリティであり、日本人が実際にドイツ国内で活躍していることもあるだろう。コスタリカはプレーオフで勝ち上がってきたチームで、実力的には日本がわずかに上かもしれない。だが守護神ケイラー・ナバスを擁し、先制点を浴びると一転、守備力は高いだけに厳しい試合になる。
スペインは優勝候補の一つで、ペドリやセルヒオ・ブスケッツなど錚々たる選手を擁する。勢いに乗せたら勝ち目はない。
決勝トーナメント進出には、最低でも勝点4(1勝1分け1敗)は必要になり、それはこの組み合わせでは針の穴を通す難易度だ。
しかし一つ言えるのは、「90分間、相手に主導権は握られることはない」ということである。サッカーというスポーツの面白さで、ある程度差があっても、少しも反撃できないことはない。必ず、自分たちの時間、というのは存在し、逆説すれば、相手の流れになる、という時間も存在する。
「崩れを知る」
宮本武蔵の『五輪の書』では、その極意が説明されている。
「崩れというのは、何事についてもある。家が崩れるのも、身が崩れるのも、そして敵が崩れることも同じようにある。皆、その時に当たって、拍子が狂ってしまい、崩れる。それ故、敵が崩れる拍子をつかまえて、その間を取り逃さないように追い立てることが戦いにおいては肝心である。もし崩れる間を外してしまったら、敵は盛り返す」
サッカーでは、様々な理由で各所に崩れの予兆がある。プレスをはめられてしまったり、弱気のパスが狙われたり、集中力のなさを付け込まれたり、個人でもチームでも、様々な形で崩れは起こる。そこを狙われ、抉られると、総崩れとなるのだ。
トップレベルの選手たちは、その感覚に優れている。90分間、戦うのは前提のスポーツが、ここぞという瞬間に一気にパワーを懸けて相手を倒せるというのか。マンチェスター・シティのケビン・デ・ブライネ、レアル・マドリーのルカ・モドリッチなどは、戦いのスイッチを入れられる選手と言えるだろう。
一方、自分たちに崩れが起きそうになったら、急がず、騒がず、時間をうまく使い、徐々に修正する。あるいは、抜きん出て優れた一人の守備者がいれば、綻びを補強し、崩れを起こさせない。リバプールのフィルジル・ファン・ダイクは、その達人だろう。最終的に崩れをすべてせき止められるという点では、レアル・マドリーの守護神、ティボー・クルトワも同じだ。
「崩れを知る」
その極意に通じた選手が日本にいれば、攻守でタイミングをつかみ、チームを勝利に導けるかもしれない。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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宮本武蔵の『五輪の書』では、その極意が説明されている。
「崩れというのは、何事についてもある。家が崩れるのも、身が崩れるのも、そして敵が崩れることも同じようにある。皆、その時に当たって、拍子が狂ってしまい、崩れる。それ故、敵が崩れる拍子をつかまえて、その間を取り逃さないように追い立てることが戦いにおいては肝心である。もし崩れる間を外してしまったら、敵は盛り返す」
サッカーでは、様々な理由で各所に崩れの予兆がある。プレスをはめられてしまったり、弱気のパスが狙われたり、集中力のなさを付け込まれたり、個人でもチームでも、様々な形で崩れは起こる。そこを狙われ、抉られると、総崩れとなるのだ。
トップレベルの選手たちは、その感覚に優れている。90分間、戦うのは前提のスポーツが、ここぞという瞬間に一気にパワーを懸けて相手を倒せるというのか。マンチェスター・シティのケビン・デ・ブライネ、レアル・マドリーのルカ・モドリッチなどは、戦いのスイッチを入れられる選手と言えるだろう。
一方、自分たちに崩れが起きそうになったら、急がず、騒がず、時間をうまく使い、徐々に修正する。あるいは、抜きん出て優れた一人の守備者がいれば、綻びを補強し、崩れを起こさせない。リバプールのフィルジル・ファン・ダイクは、その達人だろう。最終的に崩れをすべてせき止められるという点では、レアル・マドリーの守護神、ティボー・クルトワも同じだ。
「崩れを知る」
その極意に通じた選手が日本にいれば、攻守でタイミングをつかみ、チームを勝利に導けるかもしれない。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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