「驚くべき躍進の最大の立役者」不祥事による3度の退団を経てポルトガルで躍動!邦本宜裕は、ついに成熟できるか

2022年09月15日 沢田啓明

カーザ・ピアの驚くべき躍進の最大の立役者

新天地カーザ・ピアで開幕から活躍中。邦本はその才能を継続的に発揮できるか。 (C)Getty Images

「Kunimoto está feliz de vida」(クニモトは幸せだ)の大見出し。
 
 白いスパイク以外は全身真っ黒のユニホームに身を固め、両手で力強いガッツポーズを作る背番号14の写真――。8月29日のポルトガルリーグ第4節。ヴィトーリア・ギマランイス戦の前半7分に、左サイドからスルーパスを受けて抜け出し、左足で強烈に蹴り込んだときの一コマだ。
 
 ポルトガルのスポーツ紙『ア・ボーラ』は、9月1日の紙面で昇格チームのカーザ・ピアに移籍した邦本宜裕の特集を組んだ。
 
 その中で24歳の邦本は、「ここにいられて本当に幸せ」、「チームの勝利に貢献できて嬉しい」などと語っている。
 
 紙面では、2020年に全北現代モータースで彼を指導したポルトガル人監督、ジョゼ・モライス(現セパハン監督=イラン)の「当時から私は彼が欧州でも成功できる選手だと確信していた」というコメントも紹介。「今シーズン序盤のカーザ・ピアの驚くべき躍進の最大の立役者が、この日本人だ」と称えている。

【動画】得意の左足を一閃。邦本宜裕が決めたポルトガル初ゴール
 カーザ・ピアは、1920年、首都リスボンに総合スポーツクラブとして設立された。1938-39シーズンに1部リーグで戦ったが、1勝13敗の最下位で降格。以降は下部リーグで戦う時代が続き、ついに昨シーズン、2部で2位に食い込み83年ぶりにトップチームへ復帰した。
 
 今年7月末に加入した邦本は、8月7日の開幕戦に先発すると、以降もスタメンに名を連ねている。
 
 8月21日の第3節ボアビスタ戦では、1-0で迎えた67分に自陣からのロングパスでダメ押しの2点目をアシスト。チームの1部リーグにおける83年ぶりの勝利に貢献した。
 
 そして迎えた第4節には、待望の初ゴールを記録。これが決勝点となり(1-0)、クラブは102年の歴史で初となるアウェーでの勝利と連勝を達成した。
 
 カーザ・ピアは、6節を終えた時点で3勝2分け1敗の6位と大健闘。邦本は全試合に先発して1得点・1アシストと目に見える結果を残している。
 
 左利きのテクニシャンで、視野が広く、大胆にパスを通す。決定力もある。決して大柄ではないが、フィジカル能力も高い。
 

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