「全部が一緒の方向を向いている」かつてないほどJ1に近づいている岡山。2人の昇格経験者が語る“勢い”「相乗効果を感じています」

2022年09月14日 寺田弘幸

ホーム・Cスタの熱はどんどん高まっている

35節終了時で、J1自動昇格圏内に勝点5差の岡山。残り7試合、悲願達成へ邁進する。写真:鈴木颯太朗

 攻守において慎重で、3連勝してきた勢いは感じられなかった。9月10日の第35節・山形戦に臨んだ岡山は、とても硬かった。

 木山隆之監督は「絶対に落とせない勝ちたい試合でした。そういうなかで、いろんなことを大事にする意識が頭の中にあって、前に向かっていくプレーが少なかった」と試合を振り返っている。

 34節終了時で、2位の新潟との勝点差が『5』に縮まったことが硬くなった最大の要因だろう。選手たちが重圧を感じてアグレッシブさが影を潜めた岡山は、51分に國分伸太郎に直接FKを決められて先制を許した。

 そんな試合でも岡山は勝ち切ってみせた。

 追いかける展開になったことで選手たちは吹っ切れ、前へ前へとプレーしてゴールに向かっていく。勢いを取り戻した岡山はセットプレーからチアゴ・アウベスとミッチェル・デュークが得点を奪って、2-1と逆転。4連勝を成し遂げた。

 90分間を戦い終えた濱田水輝は、満足いかない表情を浮かべミックスゾーンに現われた。しかし、とても良い手応えも感じていた。

「お互いにそんなにチャンスがなく硬い試合でしたし、先に取られて苦しかった。けど、それでも逆転できるのが今のチームの勢い。昇格するチームはこういうチームだと思う」
 
 チームの勢いはどこから生まれているのか。2015年に福岡でJ1昇格プレーオフを制して、J1に昇格する経験をしている濱田は、あの頃を思い出しながら語ってくれた。

「正直に言うと、この勢いが何で生まれているのかは分からないです。でも、僕がアビスパで昇格したときも似たようなものがあった。何でか勝てちゃうとか、失点しても逆転できちゃうとか。そういうのって言葉ではあんまり説明できないんですけど、1つ間違いなく言えるのは、サポーターの力が大きいということ。

 自分たちが勝つことでサポーターが盛り上がるし、サポーターが盛り上がることで自分たちの士気も上がって勢いがさらに出る。相乗効果みたいなものを福岡でも感じましたし、今の岡山でも感じています」

 J2参入14年目のシーズンでかつてないほどJ1に近づき、ホーム・Cスタの熱はどんどん高まっている。オリジナルユニホームを先着1万名に配布した第34節の町田戦は、1万人を超える観客がスタジアムに集い、山形戦も8000人を超える観客が駆け付けてチームを後押ししてくれた。濱田の言う相乗効果は、これからさらに生み出されていくだろう。
 

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