5試合勝利なしの柏が苦境を打破するには? ヒントはサポーターの声援“内容”にある

2022年09月11日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

前線からの守備をどう機能させるか

声出し応援で選手を後押しした柏サポーター。素晴らしい声援だった。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

 敵地に乗り込んだ29節の浦和戦で1-4と大敗し、柏レイソルの最終ラインは守備力が低いと改めて感じさせられた。マークを捕まえきれないうえに、球際ではあっさりと交わされ、ボールを奪いに行ったかと思えばPKを献上。直近3試合で合計12失点と、スコアにもハッキリと表われている。

 マークの受け渡しという課題も改善すべきだが、対人守備の間合いもかなり気になる。失点シーンではシューター、もしくはクロッサーに圧をかけられていないし、プレッシャーをかけたとしても交わされてビッグピンチとなる。柏の現DF陣のなかで、1対1のディフェンス時に駆け引きができて身体能力もあるのは、個人的には高橋祐治だけだと思っている。実際、彼が27節のFC東京戦で脳震盪の疑いにより32分に交代し、28節の磐田戦、29節の浦和戦も欠場すると、不在時に失点を重ねた。

 高橋が復帰すれば少しの改善を見込めそうだが、守備力がある選手がひとりでは足りないし、他のDF陣のディフェンス力を急に上げるのは非現実的だろう。夏の移籍マーケットも閉じている。浦和戦の黒星で5試合勝利なしという苦境を打破するには、対策の仕方から考え直すべきではないだろうか。

 浦和戦では前半途中に3-5-2から3-4-2-1にシステムを変更したが、今季何度かトライしたこの対策が勝利につながったケースはほとんどない。最終ラインの守備力が低いので、前線の枚数を減らして守勢に回ると、なおさら首が絞まる。
 
 ならば相手の攻撃を最終ラインまで到達させないよう、前線からの守備をどう機能させるかという対応に注力すべきだろう。確かに3-5-2のシステムではアンカーの両脇を突かれるリスクがあるが、そのアンカーを務める椎橋慧也は言っていた。

「2トップの時は僕の脇にスペースが空きますが、一方で相手のCBにボールを運ばれる確率が減ります。また中盤3枚の運動量が増えますが、上手く行っていた時はその中盤3枚がしっかりスライドできていたし、中盤のスライドに連動した最終ラインも球際で潰し切れていました。だから僕らも2トップに自信を持っていました」

 埼玉スタジアム2002に響いた柏サポーターの声援は素晴らしかった。久しぶりの声出し応援で、個人的に特に耳に残っているのは、「突き進め柏」「最後まで熱く、激しく戦え」である。

 この声援内容は、今の柏にとって重要なヒントだと思う。前から突き進み、熱く、激しく、戦えているのか。サポーターの応援が"本当の意味で"心に響き、力に変えられる選手が次節のピッチに立ってほしい。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)

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