【喜熨斗勝史の欧州戦記|第17回】ワールドカップ前最後の活動に向けた代表コーチの仕事とは? 選手層を厚くするうえで大きい“本気の公式戦”

2022年08月31日 サッカーダイジェストWeb編集部

セルビア代表候補選手たちのパフォーマンスや動向をチェックする日々

ユベントスのフィリップ・コスティッチ(写真左)とマジョルカのプレドラグ・ライコヴィッチ(写真右)。環境を変えたセルビア代表選手だ。(C)Getty Images

 セルビア代表のドラガン・ストイコビッチ監督を右腕として支える日本人コーチがいる。"ピクシー"と名古屋でも共闘し、2010年のリーグ優勝に貢献した喜熨斗勝史だ。

 そんな喜熨斗氏がヨーロッパのトップレベルで感じたすべてを明かす連載「喜熨斗勝史の欧州戦記」。第17回は、ワールドカップ前最後の活動に向けた代表コーチの仕事について語ってもらった。
 
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 カタール・ワールドカップイヤーとなる今季、欧州サッカーもいよいよ本格的に始まりました。私は現在、日本でオフを頂いていますが連日連夜、約40人にも上るセルビア代表候補選手たちのパフォーマンスや動向をチェックする日々です。多ければ一日6試合を衛星放送で確認しています。

 吉田麻也選手(サンプドリア→シャルケ)、伊東純也選手(ヘンク→スタッド・ランス)など日本人選手も含め、昨オフも欧州サッカー界は多くの移籍ディールがありました。セルビア代表選手たちも同様です。日本のサッカーファンの方に馴染みが深い選手でいえば、MFフィリップ・コスティッチがフランクフルトからユベントスへ移籍しました。GKプレドラグ・ライコヴィッチはスタッド・ランスからマジョルカに新天地を求めました。
 
 新しい環境になるということはチャンスとともにリスクも混在します。例えばMFネマニャ・ラドニッチ。昨季ベンフィカでは出場機会が限られていましたが、今季加入したトリノではレギュラーを掴んでいます(公式戦4試合・2得点・1アシストを記録)。一方、セルビア代表のレギュラー格で、バーゼルからレッドブル・ザルツブルクへ加入したCBのストラヒニャ・パヴロヴィッチは3試合連続でスタメンでしたが、急に出場機会がなくなったりしました。

 移籍をしなくても新しいシーズンになることで影響が出る選手もいます。スウェーデン1部のマルメにFWヴェリコ・ビルマンチェヴィッチ(21歳)という選手がいます。彼はほとんどの試合に出場して7試合で4得点・2アシスト。また欧州ではなくアメリカですが、昨年の日本代表との親善試合でも招集したLAギャラクシーのFWデヤン・ヨヴェリッチ(23歳)は10得点を取っています。

 若手が台頭してきたのは喜ばしいことです。気になるのはトリノで背番号10番を付けるMFサーシャ・ルキッチ。昨年はほとんどの試合で出場したのにもかかわらず、新シーズンではなかなか出番がもらえていません。

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