名古屋、“すべてにおいてかみ合わなかった”ガンバ戦の敗因は?「何かを間違えていたのか」稲垣も答えを出せず…

2022年08月28日 今井雄一朗

チグハグさが拭えず。その元凶となったのは最初の失点

名古屋はG大阪に0-2の敗戦。稲垣は試合後、「何かを間違えていたのか、って思い返してみても、どこだったんだ」と、普段の明晰さを発揮できずにいた。写真:田中研治

[J1第27節] 名古屋0-2G大阪/8月27日/豊田スタジアム

 すべてにおいてかみ合わなかった、かみ合いきらなかったのが名古屋の敗因だった。

 何か明確なミスや戦術的な失敗があったというよりは、掛け違いの連鎖を断ちきれなかったというほうが印象としては近い。それは試合開始早々の稲垣祥のバックパスがピンチになりかけたシーンから始まり、その後も90分の中で形を変えながら名古屋の攻守を蝕んだ。

 一番の痛恨事は、開始3分のG大阪の強引な突破を止めきれず、パトリックに先制を許した点だ。レアンドロ・ペレイラのパスを受けたパトリックの突進は、人数も十分にかけて止めたが、ボールは確保しきれず混戦模様にしてしまった。

 G大阪は前節の広島戦もそうだったが、この2トップはルーズボールに強い。結果、パトリックは転倒しながらも、ボールをファン・アラーノに拾わせるのに成功し、すぐさま立ち上がると名古屋のマーカーが1人もいないオンサイドにいるという幸運も引き寄せた。
 
 名手ランゲラックも「あのような形で(先制点を)取られたことが残念でならない」といら立ちを隠せない様子で、改めて見てもこの瞬間の名古屋の守備陣形はガタガタだ。J・アラーノの精緻なパスと、パトリックの決定力は褒めなければいけないが、その前の段階で名古屋はクリアするチャンスが何度もあった。

 リードを奪われれば名古屋はやや強引にもなり、G大阪は逆にセーフティからカウンター狙いも強くなる。相手の4-4-2とのミスマッチを飲水タイムで修正し、後半からはフォーメーション自体を3-4-3から3-5-2へと変えて巻き返しを図った名古屋だったが、1点を追う状況に今度はノッキングを起こす。

 前半はチームとしての戦い方がはっきりしなかった部分でのかみ合わなさが重大だった。しかし、今度は明確にしたゆえのチグハグ感が出た。

「きれいなパスじゃなくても、くさびをどんなタイミングでも良いから打ち込んでいこうと。それを前は上手く処理しようと。けど、今度はそれはそれでうまく前と後ろのタイミングが合わなくなった」とは重廣卓也の言葉。リンクマンとして奔走し、守備でも気の利いたところを見せていた新戦力だが、53分にベンチに下がって以降もそのチグハグさは拭えなかったと話す。

「距離感、ポジショニングの問題が今日はもろに相手の4-4-2に対して出た」

 その元凶は当然のごとく最初の失点で、取り返す戦いの難しさが判断力や連動感に影響したのは否めない。
 

次ページ暗中模索の中で戦った「難しい試合」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事