「常勝の看板は下ろして良い」川崎に敗戦も、岩政監督が示した“新しい鹿島”

2022年08月28日 渡邊裕樹(サッカーダイジェストWeb編集部)

「たくさんのミスも、負けもでるだろう。そこは僕が引き受ける」

距離感やつなぐ意識に変化が見え、川崎をポゼッションで上回った鹿島。(C)SOCCER DIGEST

[J1第27節]川崎2-1鹿島/8月27日/等々力陸上競技場

「選手たちは申し分のない戦いをしてくれました。負けたら僕の責任だということだけです」

 鹿島の岩政大樹監督は川崎戦後にこう切り出し、試合前の選手たちに以下のように語りかけたと明かした。

「試合前のミーティングで常勝の看板は下ろして良いと言いました。僕らはこれからチームを作るところ。そのなかで、たくさんのミスも、負けもでるだろう。そこは僕が引き受けるので、やろうとしていることを続ける。どんな状況でも、どんな点差でも、続けるということを求めました。それを90分続けてくれた」

 試合は指揮官の言葉通り、ミスなども絡み、8分のPKと、14分のフリーキックで2点をリードされる。だが、後半立ち上がりに樋口雄太のキックを仲間隼斗が頭で合わせて52分に1点を返すと、割り切った攻撃姿勢で相手陣内に押し込む。終盤はパワープレーで最後まで闘志をむき出しにして戦った。
 
 試合後の取材に応じた仲間も「(0-2からでも最後まで戦う姿勢を示せたことは)岩政監督に言われていた。そこは徹底できて、自分たちの色を示せた。逆境でしたが、立ち向かう勇気を示せた」とコメント。試合前の指揮官の言葉については、こう見解を語った。

「(常勝の看板を下ろして良いとは)選手たちの負担を軽くしようと言ってくれたと思っています。今いる選手たちと、岩政監督で新しいチームをつくるチャレンジができた。0-2の逆境でしたが、諦めない姿勢で自分たちの色を示せた」

 今季途中から指揮を執って3試合目。岩政監督が「立ち返るべき場所」「今向かっている道」を意識して臨んだ川崎戦では、従来は多かったオーソドックスな4-4-2の布陣から、中盤をダイヤモンド型に変更。ロングボールを多用していたレネ・ヴァイラー前監督時代の戦い方から、選手間の距離をコンパクトに、後方でボールを保持し、中盤で繋いでいくなど意識の違いも見えた。

「数年前は、川崎がいいサッカーをして、鹿島はゲームコントロールで勝った。その後それが逆転した。僕はここから時代をひっくり返すことに手応えを感じた。(川崎戦で)それを見せてくれた選手達に感謝しています」と述べた指揮官。「鹿島は負けても良いチームではない。ただ、正しい道を歩み始めている」と力強く語った。

取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)

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