「すごく充実感がある」大宮V・仲田歩夢が新境地“右サイド”でさっそくゴール!「最低5点は取りたい」と意気込み

2022年08月22日 西森彰

寄せてきた相手DFの一歩手前でフィニッシュ

WEリーグ杯初戦の浦和L戦で先制点を挙げた仲田。得点以外でも質の高いプレーを見せた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 8月21日、NACK5スタジアム大宮ではWEリーグカップ第1節、大宮アルディージャVENTUSと三菱重工浦和レッズレディースの"さいたま"ダービーが行なわれた。

 前半から互いにチャンスを作り出すなか、先に決定機をモノにした大宮Ⅴが2点を先行。浦和も敗色濃厚なアディショナルタイムに立て続けのゴールで追いつき、意地を見せる。試合は2-2のドロー決着となった。

 この試合の前半、スタンドを盛り上げたのが、大宮VのMF仲田歩夢だった。昨季は、リーグ戦20試合、皇后杯2試合と、大宮Vの全試合に出場。第16節の浦和戦以外の21試合では先発した。

 しかし、コンスタントに出場を続ける一方で、ゴールが遠く、無得点に終わった。第7節に井上綾香のゴールをアシスト、第11節にも上辻佑実の素晴らしいゴールへつないでいるが、そこからはゴールに直結するプレーが減っていった。

 仲田自身には、プレースタイルを変えたというほどの意識はなかったというが「確かに、自分の中でも、自分で行けるかなという部分で、パスを選んだりしているところが多いなというのは、シーズンを通して感じていた」という。創設初年度のチームにゴールという形で貢献したい気持ち、結果が出ないことへの責任感が、プレーに迷いを生み、制限をかけていたのだろう。

「貪欲さを出していこう」という意識で、臨んだ今季のファーストゲーム。レフティの仲田のポジションは、主戦場の左サイドから右へ移っていた。この配置転換は、今季から大宮Vの戦術面を担当することになった、大宮OBの斉藤雅人ヘッドコーチの発案らしい。

「彼女の特長を生かせるのは右サイドかなと。本人と話をして、左足でのクロスを期待して、右サイドをやってもらった」(斉藤ヘッドコーチ)。
 
「ずっと左サイドをやっていた人間なので、右サイドをやることに新鮮な部分、探り探りの部分があり、やっていてすごく充実感がある」(仲田)。新たなポジションへの取り組みに専念することで、気持ちがリフレッシュした。

 また、逆足のポジションとなる右サイドに置かれて「自然とゴールに向かう形が多く取れる。やっぱり自分の中でもゴールが欲しいという部分がある。ゴールに対する意識は強くなったかなというのは自分でも感じています」。開始3分、サイドでボールを持つと、迷わず、中央へ切り込んでいく。このシーンはDFにコースを防がれたが、その「貪欲さ」は誰の目にも明らかだった。

 そして、30分、この日、最大の見せ場を迎える。カウンターから中央の井上がボールをキープすると、そこからボールを要求するように、右から中央へ切れ込みながら駆け上がっていく。井上の正確なスルーパスを、左右から寄せてきた浦和DFの一歩手前で、仲田の左足がとらえる。チームに勢いを、観客席には熱気をもたらす、見事な先制点を決めてみせた。
 

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