【湘南】耐えて、チャンスを掴む。プロ14年目、36歳の坪井慶介が示した第一線での生き残り術

2015年09月26日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

文字通り円熟味のある、要所を締める守備を随所で見せた。

約5か月ぶりの先発出場ながら、坪井は不安を感じさせないプレーで勝点1獲得に貢献した。写真:徳原隆元

 第1ステージで苦杯を舐め、過去通算10連敗を喫していた横浜相手に、湘南が耐え凌いで、ワンチャンスをモノにし、1-1のドローに持ち込んだ。実に18年ぶりに横浜から勝点を掴んだ。
 
 そんな試合展開のように、じっと長い間ピッチに立つ機会を待ち望み、訪れたチャンスでしっかり結果を残したのが、10日前の9月16日に36歳の誕生日を迎えた坪井慶介だった。
 
「やれるだけのことを精一杯やる。それはいつでも変わらないこと」
 
 先発起用は5月2日の第1ステージ9節・名古屋戦以来、約5か月ぶりである。CBのレギュラーであるA・バイアの突然の欠場により巡ってきたチャンス。背番号20は決して昂ぶることも不安に陥ることもなく、持っている力を十全に発揮。文字通り円熟味のある、要所をぎゅっと締める守備を随所で見せた。
 
 この横浜戦での勝点1を、坪井は次のように評価した。
 
「もちろん勝点3を取りたかったが、追いつけたのは大きい。なんとか、一歩進めた。このまま、しっかりみんなで前を向いて進みたい」
 
 54分にFKからの流れでオフサイドを取り切れず、横浜に先制点を与えた。しかし、それ以外、相手に"崩された"と言えるシーンはほぼ作られなかった。2列目にタレントを揃える横浜の質の高いアタックに対し、粘り強い守備を続けられたことが同点劇に結び付いたと、坪井は分析する。
 
「先に点を与えてしまったけれども、慌てずにプレッシャーをかけることを全員で徹底できていた。それが最後の最後に追い付けた要因でもあった」
 
 湘南らしい攻撃の形を作れず、危うく焦れそうになる展開のなか、70分、永木の直接FKが決まり、同点に追い付いた。

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