シンプル極まりない“大技”で神奈川ダービーを制した川崎。横浜はCBのポジショニングが課題に

2022年08月08日 石川聡

3連覇へ「首の皮一枚、つながった」

終了間際に決勝点を挙げたジェジエウ(4番)。鬼木監督は「足がつったと思えないような迫力あるジャンプとヘディング」と舌を巻いた。(C)SOCCER DIGEST

 等々力陸上競技場で8月7日に行なわれたJ1第24節で、川崎フロンターレが横浜F・マリノスとの神奈川ダービーを2-1と制し、3連覇へ「首の皮一枚、つながった」(家長昭博)貴重な勝点3を獲得した。

 これで4位へと浮上した川崎。首位の横浜とは依然として勝点8の開きがあるが、二つ消化が少ない試合を確実にものにすれば勝点2差に迫るという計算になり、2位の柏レイソル(勝点42)、3位のセレッソ大阪(同41)より有力なタイトルチャレンジャーとなる。

 川崎の攻撃といえば、分厚く守る相手の守備も錬成された巧みなパスワークで崩していくのが持ち味。しかし、この横浜戦ではダイナミックな"大技"で得点を奪ったのが興味深い。レアンドロ・ダミアンの25分の先制点は、自陣センターサークル付近から谷口彰悟が右サイド深くにロングパス。これを攻撃参加の山根視来がワンタッチでゴール前に折り返し、ワンバウンドしたボールをブラジル人エースストライカーがうまくヘディングで合わせた。

 後半アディショナルタイム9分にはジェジエウの決勝点で、スタジアムが熱狂のるつぼと化した。この得点も右サイドの家長が正確なクロスをファーサイドに送り、足をつった影響で前線に残されていたジェジエウが高い打点から頭でねじ込んだ。川崎の鬼木達監督も「足がつったと思えないような迫力あるジャンプとヘディング」と舌を巻いた。
 
 この2得点とも芝生の上を走ったボールからではなく、浮き球を使ってのゴール。このところコロナ陽性者が続出した影響でメンバー編成、コンビネーション熟成にも苦慮するなか、個の能力が高い選手たちによるシンプル極まりないプレーも効果的であることを証明した格好だ。

 普段とは異なる表情を見せながら、難しい試合を勝ち切った川崎。鬼木監督は「競ったゲームを勝つことでもう一回、川崎は勝負強いという印象を与えられる。それだけでも大きく変わってくる」と、この勝利の意義を語った。反転攻勢に向けて、この1勝がターニングポイントとなるか。まずは次節、8月13日にホームで行なわれる京都サンガF.C.戦に注目が集まる。

 一方、横浜にとっては後半に喜田拓也のシュートがゴールポストを叩くなど勝ち越し機もあり、手ぶらでスタジアムを後にするのは残念な結果だろう。悔やまれるのは、2失点の場面ともCBがボールに集中する余り、ポジション取りが巧みだったL・ダミアン、ジェジエウへの対応が甘くなってしまったこと。それは「結果論でしかない」と横浜のケヴィン・マスカット監督はかばったが、やはり13日の次節、日産スタジアムに湘南ベルマーレを迎える再度の神奈川ダービーに向けて、一つの課題となりそうだ。

取材・文●石川聡

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