長友が弱点を露呈か。清水戦で戦慄が走った失点シーン

2022年08月08日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

現役日本代表なら格の違いを見せつけてほしい

清水戦では良いところもあった長友だが、C・ジュニオに競り負けたシーンは……。写真:徳原隆元

 両チームのサポーターの声援が心地よく響くスタジアムだったからこそ、ホームで勝利を飾りたかった。しかし、終わってみれば残留争い真っ只中の清水に0−2と完敗。インサイドハーフの安部が「今日は(攻撃面で)アイデアがなかった」と言うように、FC東京は不甲斐ないパフォーマンスに終始した。

 有効的なパスワークは数える程度で、引き気味に守る清水の牙城を崩せない。決定機らしい決定機はなく、後半に失点を重ねて良いところなく敗れたわけだが、何より記憶に残っているのが先制されたシーンだ。自陣の左サイドを破られ、原のクロスにヘッドで合わせたC・ジュニオにゴールを決められた場面である。

 あの失点は、左サイドで原からボールを奪えなかった松木曰く「自分の責任」だそうだが、そこよりも言及すべきはC・ジュニオに易々とシュートを許した長友の守備ではないだろうか。
 この日の長友はそこまで決して悪くなかった。マッチアップした乾も「手強かった」と話していたが、最初の失点シーンである意味高さ不足を露呈。確かにC・ジュニオのクロスへの入り方、シュート技術は素晴らしかった。それでも、ゴール前であそこまで完璧に競り負けるのは、長友本人がカタール・ワールドカップを見据えているなら大きな反省材料となるだろう。

 決められた瞬間、戦慄が走ったというか、素直に「これがワールドカップだったらやばかった」とそう思った。仮にカタール・ワールドカップの試合で長友が先発すれば、"そこ"をクロスで狙われることはある程度予想できる。だからこそ、清水戦での失点が気になったのだ。

 長友に対して恨みはないし、むしろ今度のワールドカップでベテラン健在を示してもらいたいと思っている。しかし、FC東京に復帰してからのパフォーマンスにはやや不満を抱いているのが正直なところだ。組み立ての局面で違いを出せず、失点に絡むミスも見受けられる。現役日本代表なら、ピッチの誰よりもオーラを放つべきというのが持論だ。現にこの日の権田(清水)は十二分な存在感でゴールマウスを死守したし、さすが森保ジャパンの正守護という貫禄を示していた。

 格の違いを見せつける。それができなければ、現役日本代表とは言えない。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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