【総体】13年ぶり決勝進出の前橋育英。止めてないのに…PK戦後チームメイトがGK大澤脩人を祝福したワケ「控えだけどずっと努力をし続けていた」

2022年07月29日 手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

「普段の大澤が生んだバー2本だった」

米子北との準決勝でPK戦の直前から途中出場した大澤。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[インターハイ準決勝]前橋育英0(4PK3)0米子北/7月29日(金)/徳島市球技場第1競技場
 
 前橋育英(群馬)が2009年大会以来、13年ぶりの決勝進出を決めた。
 
 米子北(鳥取)との準決勝は、長い時間ボールを保持し、ボランチの徳永涼(3年)を中心としたテンポの良いパス回しで相手ゴールを強襲。しかし、粘り強い守備に苦戦し、1点が遠いままPK戦へ突入した。
 
 前橋育英はPK戦の前にGKを変更。正守護神の雨野颯真(2年)に代えて、大澤脩人(3年)を投入した。山田耕介監督はこの交代について、「徳島に来る前に練習で大澤がどんどん止めていて、大会1日目か2日目ぐらいに、『PK戦になったら、絶対お前で行くから準備しとけ』と言っていたんです」と明かした。
 
 大澤がゴールマウスに立つと、ベンチメンバーからは「大澤止めろよ!」「行けるぞ!」という声がかけられた。大澤もその声に応える形でベンチへ向かって手を上げる。
 
 相手の4本目では、ゴール右に放たれたシュートに反応。横っ飛びで触れたものの、スピードを殺されたボールはそのままゴールに転がり入った。「止めたと思った」という本人も思わずガッツポーズ。「ボールを探していたらゴールの中にあって、頭抱えちゃいました」と悔しさを露わにした。
 
 PK戦は、米子北の3番目と5番目のキッカーがシュートをクロスバーに当て、4-3で全員が決めた前橋育英に軍配。勝利が決まった瞬間、PKを止めたわけではないのにもかかわらず、ベンチメンバーを含めた全選手が、大澤のもとに一斉に駆け寄り、歓喜の輪ができた。
 
 大澤を祝福したワケをキャプテンの徳永に訊くと、「自分たちよりも大澤が一番緊張していたんじゃないかなと思います。いつもベンチで盛り上げてくれて、練習でも声を出してくれて、そういうのを全員が知っている。チームのムードも作ってくれて、そういうところで、止めてなかったにしろ、普段の大澤が生んだバー2本だったかなと思います」と答えてくれた。

「雨野の控えだけど、ずっと努力をし続けていたのは見ています」(山田監督)
 
 指揮官もチームメイトも絶大な信頼を寄せるPKストッパー。チームの雰囲気が悪いときにも、いじられキャラだという大澤がムードメーカーとして空気を変える。前橋育英には決してなくてはならない存在だ。

 決勝は7月30日、前橋育英は日本一を懸けて帝京(東京)と対戦。大澤は「PK戦になれば、今度こそ絶対に止めてやりますよ」と意気込んだ。
 
取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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