【総体】昌平のエース荒井悠汰が沈黙を破る2ゴール!「まだまだいける。もっと違いを見せないと」

2022年07月27日 森田将義

「自分たちは日本一を狙えるチームだと思う」

日章学園との3回戦で2得点の荒井。チームメイトからは手荒い祝福を受けた。写真:森田将義

[インターハイ3回戦]日章学園2-6昌平/7月26日(火)/鳴門・大塚スポーツパーク球技場

 2月にいち早く、来季からのFC東京内定が発表されると、3月2日に行なわれたルヴァンカップの福岡戦では特別指定選手として後半からピッチに立ち、プロデビューを果たした。続くジュビロ磐田戦ではスタメン出場も経験。今大会の顔と言える存在なのが、昌平高(埼玉)のMF荒井悠汰(3年)だ。

「プロデビューしてから、色んな意味で注目されてきた。プレッシャーに弱いタイプだけど、それでもやっぱりプロが決まったからには結果というところが求められてくる。もっと点を決めたい」

 そう意気込んで挑んだインターハイだったが、自チームとFC東京の両立、そして4月にはU-19日本代表候補の合宿もあったため、疲労が溜まっていたのは事実。インターハイ前には藤島崇之監督らスタッフ陣から身体が重いと指摘され、一人だけ別メニューをこなすこともあった。

 大会に入ってからもコンディションは万全とは言えなかった。低い重心から繰り出す力強いドリブルで特長を見せるものの、1、2回戦でチームが合計6得点を奪うなかで、荒井はノーゴール。前日に行なわれた2回戦の星稜(石川)戦では、シュートも0本に終わっていた。

"今日こそは"との想いで、挑んだのが3回戦の日章学園(宮崎)戦。序盤から、右サイドでボールを持つと重戦車のようなドリブルを繰り出し、身体を暖めていく。

 同時に得点への欲望も高まるなか、待望の今大会初ゴールが生まれたのは前半17分。左サイドの高い位置からドリブルを仕掛けたDF武村圭悟(3年)がペナルティエリア内で倒され、PKを獲得すると、キッカーを託された。

「PKは色んなプレッシャーがあった」と振り返るものの、「PKの練習をしていて、得意になってきていた。落ち着いて決めることができ、ホッとしました」と冷静にゴールネットを揺らした。
 
 喜ぶ荒井に対するチームメイトの祝福は少々、手荒い。「点を獲らないと仲間や後輩にイジられる」と苦笑いするように、「ようやく点を獲ったな!」との声も聞かれたのは、それだけ周囲がエースのゴールを待ちわびていたからで間違いない。

 2点目が生まれたのは、3連続ゴールで逆転し、2点差まで広げた後半31分。MF土谷飛雅(3年)のロングフィードから放ったFW小田晄平(2年)のシュートは相手GKに阻まれたが、ペナルティエリア右で素早く反応。「あそこで決めないとやっぱりダメ」と豪快に叩き込んだ。

 これまでの沈黙を破る2ゴールは、序章に過ぎない。「ここまでチームのみんなに助けられていたので、今日はしっかり得点を獲りたいなと思って、試合に入りました。ずっと点が獲りたかったけど、コンディションが上がらなかったので、これからはしっかり得点にこだわっていきたいと思います。まだまだいけると思いますし、もっと違いを見せないといけない」。

 目標とする頂点まで残るは3試合。頼れるエースが漂わせる復調の気配がチームとしても大きい。「一戦一戦、目の前の試合にしっかり集中して挑みたい。自分たちは今回、日本一を狙えるチームだと思う。点を獲って、今年こそは日本一を狙いたい」。そう意気込む男はさらなる活躍を見せてくれそうだ。

取材・文●森田将義(サッカーライター)

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