【ヨーロッパリーグ】“伏兵”の輝きでドルトムントの公式戦連勝数は「10」に!!――ドルトムント 2-1 クラスノダール

2015年09月18日 遠藤孝輔

香川は後半からの登場で軽やかな動きを見せるもシュートなし。

互いのゴールをアシストし合ったギンター(写真左)とパク・チュホ(写真右)の両SB(後者は後半から移行)。プレーの精度などで課題を残したドルトムントだが、様々な選手が点を取れるのはチームとして好調であることの証だろう。 (C) Getty Images

 週末に控えるレバークーゼンとのビッグマッチをにらみ、ドルトムントのトゥヘル監督は、ヨーロッパリーグ(EL)・グループリーグ1節のクラスノダール戦でターンオーバーを敢行。香川やヴァイグルをスタメンから外して、ヤヌザイ、カストロ、パク・チュホの新戦力トリオを先発させた。
 
 もちろん、ロシアの新興クラブ(2008年創立)をイージーな相手と見なしたわけではないはずだが、その采配がよもやの苦戦を招いた印象は強い。
 
 先制点を奪ったのは、アウェーチームだった。12分、左サイドの高い位置で前を向いたCFスモロフが足裏を使った技巧的なドリブルでギンターをかわし、ママエフのゴールを好アシストしたのだ。
 
 先手を取られたドルトムントは、ボールポゼッションで相手を上回るも、肝心のアタッキングサードにおけるクオリティーを欠く。香川とヴァイグルに加え、ロイス(負傷離脱中)がピッチに立っていない影響は小さくなく、狭いスペースをこじ開ける軽快なコンビネーションプレーは少なく、クラスノダールの守りを崩しきれない。
 
 ギュンドアンの縦パスを起点に、右サイドから内に絞ったヤヌザイを経由して、ムヒタリアンがGKと1対1を迎えた34分のチャンスメークには"らしさ"が凝縮されていたが、完璧に相手の組織を崩したのはこの場面くらいだった。
 
 それでもジャブを出し続け、前半アディショナルタイムに"伏兵"が会心の一撃を繰り出す。パク・チュホの左サイドからのクロスにジャンプ一番、右SBのギンターが頭で合わせて、1失点目に絡んだ汚名を雪ぐ同点弾を決めたのである。
 
 崩しの局面でのクオリティー向上を狙い、後半から香川が左SBシュメルツァーとの交代でピッチに登場。左SBにはパク・チュホが入り、香川は普段と同じ左インサイドハーフで仕掛けと崩しのタスクを担った。
 
 途中出場ながら、香川の動き自体は軽やかだった。無駄のない的確な捌き(パス成功率は87.5パーセント)で攻撃を活性化させ、65分にはヤヌザイのゴールチャンスを演出。しかし、自身がシュートに持ち込んだシーンは皆無で、試合を支配し続けたチームも詰めの甘さを露呈していた。
 
 そして、ドロー決着が現実味を帯びるなか、またしてもアディショナルタイムに伏兵が大仕事をやってのける。右サイド最深部に侵攻したギンターのクロスを頭で押し込んだのは、パスミスがやや目立っていたパク・チュホだ。
 
 前半のギンター同様、最後に自身の失態を帳消しにする殊勲弾を決めて、開幕から続くドルトムントの公式戦連勝数を「10」に伸ばす立役者となった。
 
文:遠藤孝輔
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