【総体】日大藤沢の“規格外”ストライカー森重陽介が初の全国で圧巻の存在感。プロで通用するためにさらなる成長を誓う

2022年07月25日 安藤隆人

「目標は高卒プロになること」

初の全国大会となった森重はPKで先制点を奪うも、チームは逆転負けを喫した。写真:安藤隆人

[インターハイ1回戦]日大藤沢1-2丸岡/7月24日(日)/鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアム

 198センチの規格外の高さは圧倒的な存在感を放った。

 日大藤沢(神奈川)のエースストライカー森重陽介(3年)は、丸岡(福井)との1回戦において、空中戦でほぼ競り勝つと、浮き球からグラウンダーのボールを2、3人のDFに囲まれても抑え込んで懐に収め、そこから味方へパスを配ったり、自ら突破を試みるなど、チームの攻撃の中枢を担っていた。

 前半14分には前線でボールを収めると、3人に囲まれながらも鮮やかなターンで前を向き、突破を仕掛けると見せかけて、ディフェンスラインの背後に抜け出そうとしていたMF安場壮志朗(2年)を見逃さずに右アウトサイドで絶妙なタイミングでスルーパスを供給。

 完全に抜け出した安場は飛び出してきた丸岡GK清水唯太(2年)に倒されてPKを獲得した。このPKを森重が冷静に決めて日大藤沢が先制するも、後半は丸岡の鋭いサイド攻撃をくらい逆転を許すと、そのまま1−2で敗れた。

「FWとして流れの中から点が取れなかったのは悔しい」と試合後、唇を噛んだように勝利には結びつかなかったが、冒頭で触れた通り、70分を通して森重の存在感は圧巻だった。

 跳躍力と空中戦での身体操作のスムーズさ、着地してからも滑らかなターンと、両足を駆使した柔らかなボールタッチと正確なパス。「インターハイの出発前の練習から調子が良かった」と語ったように、明らかにピッチ上でワンランク上のプレーを見せていた。
 
 森重にとって今大会は高校進学後初の全国大会。いつもとは違う雰囲気に「独特で最初はびっくりした」と緊張することもあったが、キックオフのホイッスルを聞くとすぐに集中のスイッチが入った。たった1試合で初の全国は終わってしまったが、全国トップレベルの力を有していることは証明することができた。

「ポストプレーはすごく自信がついてきて、高校生相手なら負けないという気持ちはあります。今、ハーランド(マンチェスター・シティ、195センチの長身FW)を意識していて、ハーランドは相手に囲まれてもうまく両手を使ってかき分けて突破していく。僕もそれを意識していますし、こうしたプレーは高校生に通用するのは当たり前で、プロの世界でも通用するものにしないといけないと思っているので、意識を持ってやっていきたいと思います」

 今、森重にはJ1、J2の複数クラブが熱視線を送り、獲得レースが繰り広げられている。「目標は高卒プロになること」と言い切る森重にとって、インターハイが終わったことで、県1部リーグが再開するまで自分と冷静に向き合う時間ができた。そこで将来のことを含めて、もう一度成長へのリスタートを切るつもりでいる。

「(進路については)じっくり考えたいですし、やはりプロに通用する選手になっていかないといけない。単なるポストプレーヤーではなく、点の取れるポストプレーヤーになりたいですし、もっと身体作りを徹底して、身体を太くしていきたいです」

 たかが1試合、されど1試合。森重にとって徳島で経験した70分はこれからのサッカー人生において必ずや大きな意義になるに違いない。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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