【総体】Jスカウトが注目する“帝京のレバンドフスキ”齊藤慈斗が鮮烈ハット! 前回大会のリベンジを果たし得点王へ邁進

2022年07月25日 森田将義

「昨年は自分がPKを外して初戦で負けてしまった」

先制点をお膳立てし、自らもゴールを記録した齊藤(13番)。写真:森田将義

[インターハイ1回戦]大分鶴崎2-7帝京/7月24日(日)/ヨコタ上桜スポーツグラウンド(吉野川市多目的グラウンド)

 帝京(東京)のFW齊藤慈斗(3年)がJのスカウトから注目される理由を改めて知る一戦だった。

 彼にパスが入ると力強くボールを前に運んでいくため、対峙するDFは簡単に飛び込めない。かと言って、アプローチに行くと食い付いた瞬間を狙って、パスで味方を使って剥がそうとする。大分鶴崎(大分)の守備陣にとって対応は困難。主将を務めるDF遠山隼都(3年)が「あのレベルは正直言って、大分県や九州では全く味わったことがないレベルだった。こんなにうまい選手がいるんだなと痛感できて、非常に良い経験でした」と舌を巻くほどだった。

 齊藤にとって最初の見せ場となったのは、前半9分のプレー。左サイドを上がったDF島貫琢土(3年)からのパスを、PA手前で受けた所を倒され、FKを獲得。このチャンスを「中学校から同じで、キックがチームで一番上手い」(齊藤)というMF田中遥稀(3年)が直接決めて、幸先の良いスタートを切った。

 続く16分には自身の得点で会場を沸かせる。FW橋本マリーク識史(3年)から出た長いボールで、相手エリアに進出すると、「相手が突っ込んできてくれたのが見えので、1回キックフェイントを入れた」。シュートを警戒したDFを冷静にかわし、最後は落ち着いてゴール左隅に流し込んだ。
 
 前半終了間際には右サイドからのボールを落ち着いて決めて2点目をマーク。後半21分には、相手GKをかわしたFW横山夢樹(2年)からのお膳立てを受けて、ハットトリックを達成。7得点を奪う大勝スタートの立役者となった齊藤は試合後、こんな喜びを口にした。

「昨年は自分がPKを外して初戦で負けてしまったので、この大会にかける想いは誰よりも強いと思っている。それがゴールに繋がって良かった。得点王は大会が始まる前から、狙っていますし、そこに対する意識は強い。1試合目から3点獲れて良かった」

 昨年のインターハイで初戦敗退に終わってから、親にお願いをして、食事の回数と栄養バランスを見直し、当たり負けしない身体を作ってきた。肉体強化によって、憧れの選手として挙げるポーランド代表のFWロベルト・レバンドフスキのような強引にゴール前をこじ開け、得点を狙う動きに磨きはかかっている。

「まだプレミアの人たちとやったことがないので分かりませんが、今の自分ならできるかなという感覚はある」という齊藤にとって、昨年3冠を達成した青森山田高校と2回戦で対戦するのは、今の実力を測る試金石だ。

「小さい頃からやっぱプロに憧れている。自分のプレーを多くの人に見てもらいたいのもある。なるべく早く自分の存在を知ってほしい」

 高卒でのプロ入りを狙っているため、インターハイでの活躍は不可欠。ゴールラッシュを初戦で終わらせるわけにはいかない。2回戦以降も、自身の名を多くの人に知ってもらい、日本一と共に夢を叶えるつもりだ。

取材・文●森田将義(サッカーライター)

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