現地紙コラムニストが綴る【武藤嘉紀のブンデス挑戦記】躍進を支えるモチベーションとインテリジェンス

2015年09月16日 ラインハルト・レーベルク

まるでスイス製の時計のように、まったくブレていない。

3節のシャルケ戦ではゴールの起点に。いまやマインツに欠かせない主力に伸し上がった。(C)Getty Images

新天地マインツでの1年目、はたして武藤嘉紀はどんなパフォーマンスを見せるのか。現地紙でコラムニストを務めるラインハルト・レーベルク記者の筆で、武藤の「挑戦記」をお届けする。
 
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 マインツの練習をよく見に来る人たちは、武藤嘉紀が人間的にもどんどんチームに適応してきていることに気が付くだろう。そして、日本人のファンと記者たちの数がどんどん増えていることにも。
 
 武藤のスポーツ的なパフォーマンスが、この発展に並走できているのは、マインツにとって好ましいことである。
 
 ブンデスリーガ4節を終えた今、マインツのスターティングメンバーを武藤抜きで考えることは、もはや不可能に近くなっている。
 
 優秀なドリブラーでありスプリンターでもある武藤は、ブンデスリーガでの"修業期間"を瞬く間に終えて、すでにチームの主力メンバーの一人になっているのだ。
 
 3節のハノーファー戦でドッペルパック(2ゴール)を記録して以降、日本メディアを含む周囲の熱狂ぶりは凄まじいものがある。
 
 しかし、武藤はその喧騒にまったく惑わされていない。初の海外挑戦にもかかわらず、まるでスイス製の時計のように、まったくブレていないのだ。
 
 プレミアリーグ5節を終えてまさかの17位に沈むチェルシーでは、もしかするとジョゼ・モウリーニョ監督が、「なぜ今夏に武藤を獲得するために、もっと努力をしなかったか……」と後悔しているかもしれない。

次ページセンターフォワードとしてここまで機能するとは、まったくの予想外だった。

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