現地ベテラン記者が香川真司を密着レポート「ヤヌザイは香川にも好影響をもたらすはずだ」

2015年09月10日 マルクス・バーク

ヤヌザイの主戦場はマンUと同じ左ウイングか。

質の高いローテーションを可能にするヤヌザイは、香川にとって負担を軽減してくれる心強い味方と言えるだろう。 (C) Getty Images

 ドルトムント復帰2年目の今シーズン、香川真司は完全復活を遂げられるだろうか。ドルトムントというクラブを知り尽くしたベテランのマルクス・バーク記者が、週一回のこのコラムで香川の「いま」をお届けする。
 
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 ドルトムントのファンは幸せだ。ヨーロッパリーグとの掛け持ちで、少なくとも12月上旬までは自分たちの愛するチームを週2回も応援できるのだから。
 
 ただ、選手たちの負担は大きい。黄色と黒のユニホームを着ていないときには、代表チームでの活動もある。疲労が蓄積すればコンディションが低下し、怪我のリスクも高まるだろう。
 
 そうした事情を踏まえれば、移籍市場が閉まる直前にアドナン・ヤヌザイという大きなポテンシャルを秘めたアタッカーを獲得できた意義は大きい。
 
 このベルギー代表はまだ20歳の若さながら、プレミアリーグで通算47試合に出場し、チャンピオンズ・リーグやワールドカップといった大舞台も経験している。代表チームとの掛け持ちで、ハードなスケジュールを強いられている香川真司やマルコ・ロイスの負担を軽減してくれるはずだ。
 
 ヤヌザイは、香川、ロイス、ヘンリク・ムヒタリアンにはない持ち味をもっている。現アタッカー陣のなかでは唯一の左利きで、マンチェスター・ユナイテッドでプレーしていた左ウイングが主戦場になるだろう。代表ウイーク中に開催した9月8日のザンクトパウリ戦(親善試合)では4-1-4-1の左ウイングでプレーし、1ゴールを挙げている(試合は2-1で勝利)。
 
 もっとも、ヤヌザイが実際どこで起用されるかは、代表組が戻ってくる9月12日のハノーファー戦(ブンデスリーガ4節)を見てみないとわからない。それでもドルトムントがその能力を高く買っているのは間違いなく、スポーツディレクターのミヒャエル・ツォルクは「アドナンはとても才能に恵まれたタレントで、技術的にもしっかりしている。私たちの攻撃陣を完全なものにしてくれるはずだ」と期待を寄せる。
 
 アタッキングサードでのスピーディな仕掛けが、新生ドルトムントの最大の武器。ヤヌザイはスピードもテクニックも申し分なく、素早いパスワークにも問題なくついていけるだろう。
 
 ヤヌザイの存在は、香川にも良い影響をもたらすはずだ。この日本代表MFは今シーズン、味方を上手く使うことで輝きを取り戻した。ロイスやムヒタリアンに鋭いパスを供給し、何度もチャンスを演出。ヤヌザイとも同様のコンビネーションが期待できそうだ。
 
 ヤヌザイの加入によって、システムを変更することはおそらくない。4-1-4-1と4-2-3-1を使い分ける戦い方が引き続き基本だ。

次ページ次々節はレバークーゼン戦。目が離せないこれからの数週間。

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