元なでしこ永里優季に直撃! 今の日本女子代表に不足しているものは「試合を読む力」【第1回】

2022年07月19日 サッカーダイジェストWeb編集部

「アジアカップは勝って当たり前だと思っていた」

アメリカで現役を続けている永里。(C)Getty Images

 2011年、日本の女子サッカーは世界の頂点に立った。ドイツで開催されたワールドカップ(W杯)で、佐々木則夫監督が率いるなでしこジャパンは決勝で強敵アメリカを破り、澤穂希が高々と黄金のトロフィーを掲げた。東日本大震災に見舞われていた日本の国民にとって、希望の象徴となったシーンで、鮮明に覚えているファンも少なくないだろう。

 その後、日本は2012年のカナダ五輪では準優勝。2014年、2018年にはアジアカップを制覇した。だが、2019年のW杯ではベスト16で敗退。2021年に開催された東京五輪は、優勝を目標に掲げながらもベスト8で敗退。3連覇がかかっていた今年1月のアジアカップではベスト4止まりと、思うような成果を挙げられていない。

 WEリーグが開幕し、女子サッカーを取り巻く環境は改善されている。それなのに、日本の女子サッカーに漂う"手詰まり感"の正体は何なのか。

 そこで、今はアメリカのNWSLシカゴ・レッドスターズで活動し、かつてはなでしこジャパンとして活躍した永里優季に、今の代表チームについて話を聞いた。2006年のアジアカップでは得点王となり、ドイツW杯を制したチームのひとりで、選手としてドイツやイングランド、オーストラリアでもプレーした経験を持つ永里は、現在のなでしこジャパンや日本の女子サッカーに対して何を思うのか。【第1回/全3回】
 
 なでしこジャパンは、新しい時代に突入しています。監督が交代した直後のアジアカップ(1~2月)では、体制も一新されて、選手の顔ぶれも変わった。でも、結果的に優勝はできませんでした。

 私が試合を見ていて思ったのは、アジアのレベル自体は昔と比べて、そこまで高くはなっていないなということ。正直に言うと、日本のレベルから言えば、勝って当たり前の大会だろうなと思っていました。

 でも、戦い方の部分で、個人のレベルでもそうですし、チームレベルでもそうですが、ゲームを感じる力だったり、相手や味方を感じる力だったりが、すごく弱まっている気がしました。自分たちが思ったようにゲームコントロールできていないなというようなところがあったんじゃないかな。私はその原因は、試合をしながら読み取ることができる情報の少なさだと感じました。

 私自身、代表にいた当時、技術的に優れた選手とは言えないです。でも、周囲の選手たちは「サッカーを理解する能力が高い」選手たちだったと思います。すべての局面で、いかにより良い選択がどうすればできるか、を考えていた。必要な場面に応じて、必要な選択ができる選手が多かったし、私はそれに合わせていけるようにという意識で取り組んでいた。チームとして、グループとして、すごくスムーズな決断ができていました。その力が、今のなでしこには感じられないなと思っています。

 チームを一新した影響は、間違いなくあったでしょう。そもそも、代表チームに課せられたミッションというのは、不可能に近いんです。数か月に1回集まって、チームとしてのまとまりを求められる。基盤のない状態でそうなってしまうと、チームとしての方向性なんて見えてくるはずもない。
 

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