【番記者通信】“内弁慶”を克服するために必要なものとは?|ユベントス

2014年03月21日 ロメオ・アグレスティ

フィオレンティーナ戦の勝利は朗報も、課題は山積み…。

本拠地での第1戦を引き分けにされて臨んだ第2戦、敵地で防戦に追い込まれながらも耐え抜き、少ないチャンスをモノにしたユーベ。この粘りはイタリア勢同士の戦いだから可能だった、というわけではないだろう。 (C) Getty Images

 国内と国外で、どうしてこれほど深遠な差があるのだろうか……。

 セリエAでは支配的な立場を確立しながら、ヨーロッパの舞台となるとからっきし勝てなくなるという、ユベントスの昔からの悪癖に何ら変わりなかった。今シーズンも、チャンピオンズ・リーグ(CL)では欧州のトップクラスとはいえないコペンハーゲンやガラタサライ相手に弱さを晒してよもやのグループリーグ敗退を喫し、ヨーロッパリーグ(EL)ではフィオレンティーナを退けてなんとかベスト8に駒を進めたものの、その内容はまったく褒められるものではなかった。

 ユベントスには、CLを戦い抜くうえで根本的に変えなければならないものがある。それは心理面だ。他の強豪との戦力的なギャップを埋め、プレーの面におけるクオリティアップを図るためには、それがもっとも重要な要素となる。

 もっともその観点からすれば、フィオレンティーナ戦の第2レグの勝利は今後に良い効果をもたらすかもしれない。相手の猛攻を耐え抜いた末にアンドレア・ピルロのFKで結果をもぎ取った一戦は、セリエAでの優勝を確信しながらも、欧州カップ戦に苦手意識があることを気にかけていたサポーターたちに、安心をもたらすものになったはずだ。

 とはいえ、ユベントスが欧州で頂点を目指すためには、当然、さらなる戦力面での充実を図らなければならない。他の強豪のように莫大な興行収入を得られない現状では、やはり少数精鋭とならざるをえないだろうが……。

 また、CLのスタンダードに合わせたシステムの変更も不可欠だ。アントニオ・コンテ監督は4-3-3や4-2-3-1の導入を考えているといわれているが、いずれにせよ、これまでとは違ったシステムを研究する必要があるのは間違いない。

 ユベントスはいま、来シーズンの戦力作りに向けて、早くも動き出しているが、さしずめジュセッペ・マロッタGDとファビオ・パラーティチSDが水面下で取り組んでいるのは、戦力の流出阻止である。すでにアルトゥーロ・ビダルやポール・ポグバに対しては、他クラブが触手を伸ばしていると伝えられるが、欧州カップ戦を争うためには、彼らの存在は絶対的に必要なのだ。

 その一方で、前回にもお伝えした通り、コンテ監督との契約は2017年まで延長された。年俸も少しながらアップし、条件面ではいっさい問題はなかったという。これは非常に重要なことだ。チーム強化というプロジェクトを遂行する上で、監督の存在はもっとも基礎をなすものであるからだ。

【記者】
Romeo AGRESTI
ロメオ・アグレスティ
1989年トリノ生まれ。著名ジャーナリストで、『ワールドサッカーダイジェスト』誌の連載でもお馴染みのジャンカルロ・パドバンが主宰する雑誌「カルチョGP」で研鑽を積み、現在は『Goal.com』のユベントス番として密着取材。クラブの専門チャンネル『ユベントスTV』にもコメンテーターとして出演する。

【翻訳】
神尾光臣
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