【ブラインドサッカー日本代表】悲願のパラリンピック初出場へ、大逆転なるか!?

2015年09月05日 海江田哲朗

日韓戦で今大会初勝利。観客からは万雷の拍手が。

日韓戦の前半、今大会日本の初ゴールを挙げた黒田。セットプレーの流れから、相手を翻弄してゴールを奪った。写真:海江田哲朗

 韓国戦、ゴール前でのセットプレー。ドリブルを開始した黒田は壁の右側から攻めると見せかけ、左に進路を取った。相手の寄せが遅れる。左隅にシュートコースが空いた。黒田のシュートはGKの手をはじき、ネットを揺らす。
 
日本の大会初ゴールは、エースの左足から生まれた。
 
 9月2日、視覚障害者と健常者がともにプレーするブラインドサッカーのアジア選手権が、東京・国立代々木競技場フットサルコートで開幕した。
 
 ブラインドサッカーは転がると「カシャカシャ」と音が鳴るボールを使用。5対5で対戦し、4人のフィールドプレーヤーはアイマスクを着用する。GKは目の見える晴眼者が務める。また、相手のゴール裏にはガイドと呼ばれる味方が立ち、シュートのタイミングや敵の位置を声で伝える。
 
 今大会は日本、中国、韓国、イラン、マレーシア、インドの6か国が参加し、上位2チームに来年のリオデジャネイロ・パラリンピックの出場権が与えられる。これまで日本はアジア予選を突破したことがない。初のパラリンピック出場が懸かった戦いだ。
 
 日本の初戦の相手は、大会4連覇中でダントツの優勝候補である中国だった。フィジカルと技術の両面に長ける中国に対し、日本は統率されたディフェンスでよくしのいだが、後半1点を失って0-1の敗戦。
 
 2戦目のイラン戦は雨中の激闘となった。濡れたピッチと水を吸ったボールは選手の研ぎ澄まされた感覚に影響を及ぼし、ボールコントロールをより困難なものとした。それは高い攻撃力を誇るイランのフィニッシュワークを狂わせたが、堅守速攻のスタイルを持つ日本には1点がなお遠かった。結果、スコアレスドロー。
 
「微妙なタッチの感覚が変わり、選手には修正能力が求められる。ただ条件は相手にとっても同じこと。言い訳にはできない」と魚住監督は語った。
 
 そうして迎えた韓国戦は、日本にとってどうしても落とせない正念場だった。前半に黒田のゴールで先制した日本は、後半に川村が追加点を挙げて2-0の勝利。大会初勝利を飾り、3位に浮上した。この日集まった976人の観客から、万雷の拍手を浴びている。

次ページ紋切り型の称賛には、誰ひとりとして値打ちを見出していない。

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