【日本代表|エリア別検証】単調なサイド攻撃は問題だが、より深刻なのは香川と岡崎の連携不足だ

2015年09月04日 五十嵐創(サッカーダイジェスト)

相手の虚を突くようなアイデアが欠けていた。

一本調子でクロスを上げ続けた酒井宏は、ドリブルでエリア内に持ち込む選択肢も持つべきだった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト編集部)

 シンガポールですら4点を奪ったカンボジア相手に3得点――。勝点3という最低限の結果は得たものの、内容に目を向ければ日本代表のパフォーマンスは褒められたものではなかった。なぜ、攻撃が思うように機能しなかったのか。ここでは、エリア別にカンボジア戦でのプレーを振り返り、課題を検証していく。
 
2015.9.3 W杯アジア2次予選 第2戦|日本 3-0 カンボジア

【右サイド|右SBの酒井宏は、エリア内にも侵入すべきだった】
 前半の日本の攻撃は、明らかに右サイドの比重が高かった。ボランチの長谷部や山口を経由して本田にボールが入るとタメができ、その間に右SBの酒井宏が外側を回る。多くの時間帯で見られたこうした動きで、カンボジアに脅威を与えていたのは間違いないだろう。
 
 実際にチャンスの数は多かった。開始間もない12分に酒井宏がフリーでクロスを上げ、22分には裏のスペースを突いた本田も長谷部へのグラウンダーのパスで決定機を演出している。カンボジアのマークが緩慢だったため、少なく見積もっても5回は右サイドを崩してチャンスにつなげていた。
 
 とはいえ、いずれの場面でもネットは揺れていない。あれだけ放り込めば、どれかは点につながりそうなものだが、単調なクロスを繰り返すばかりで、中央で待ち構える3バックに撥ね返され続けたのである。
 
 カンボジアは3バックがエリア付近にへばりついてカバーリングの意識が欠如していたため、サイドでは常に2対2の状況が生まれていた。個人技術の差を考えれば、クロスまで持ち込むのは決して難しくない状況だ。
 
 それでもゴールを演出できなかったのは、相手の虚を突くようなアイデアが不足していたからだろう。とりわけ、何度も高い位置まで進出していた酒井宏は、もう一歩踏み込んでエリア内に侵入するなど、工夫が必要だった。

次ページ左サイドの崩しには、見るべき部分もあった。

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