前半途中から足もとで受ける場面が目立ち…不完全燃焼のウズベク戦、タフで苦しいゲームを味わえた経験を財産にするしかない【U-21代表】

2022年06月17日 松尾祐希

象徴的だったのは前半の終了間際

準決勝のウズベク戦は0-2。疲労による影響で本来のパフォーマンスを示せず、悔しい敗戦となった。(C)2022 Asian Football Confederation (AFC)

 記者席から見ていると、明らかに選手の様子が違った。とにかく身体が重い――。韓国戦で見せたような機敏さはなく、試合を通じてパスミスが目立ち、足も動かなかった。

 3−0で快勝した準々決勝の韓国戦から中2日。U-23アジアカップに参戦中のU-21日本代表は、準決勝でウズベキスタンに0−2で敗れ、3位決定戦に回ることが決まった。

「コンディションもそうだし、分析もそうだし。良い準備をしたと思ったんですけど、前半は特にうまくいかなかった」

 試合後に大岩剛監督が発した言葉からも、試合の出来がうかがえる。前半の立ち上がりはそこまで足を動かせていない印象はなかった。だが、前半の中盤頃から足もとでパスを受けるシーンが目立ち始める。

 ビルドアップがままならず、出足の鋭いウズベキスタンのプレスに苦戦。相手を外せず、SBにボールが入らない。全体的に動きがなかった影響でパスコースも限られてしまい、良い状態で前に運ぶシーンは数えるほどだった。

 先発メンバーの中では運動量が落ちていなかった松岡大起(清水)と藤田譲瑠チマ(横浜)のボランチコンビも、連戦の影響で明らかに技術的なミスが増えた。とりわけ、藤田は"らしくない"プレーが続き、中盤でボールを失うシーンが頻発。「足を引っ張ってしまったし、自分としては情けないところを見せてしまった」と、自身のパフォーマンスを悔やんだ。

 そうした事象は前線の選手にも見られた。象徴的だったのは前半の終了間際。中盤でボールを持った際に、いつもなら攻撃陣が動き出すのだが、誰もが立ち止まって足もとで受けようとした。最前線の細谷真大(柏)、右サイドの藤尾翔太(徳島)、左サイドの斉藤光毅(ロンメル)、トップ下の鈴木唯人(清水)が動けず、中盤で組み立て直すしかなかった。

 結局、後半になってもギアが上がらず、60分と終了間際の89分に失点。いずれも攻撃に切り替わったタイミングで即時奪回を許し、ショートカウンターからゴールを許した。
 
 13日間で5試合目。タジキスタンとのグループステージ3戦目でメンバーを入れ替えたとはいえ、選手たちに疲労があったのは否めない。特に後半は前半以上に足が動かず、最後尾からチームを見ていたGK鈴木彩艶(浦和)も「最初はそこまで重いなという感じはあんまりしなかったんですけど、後半はやっぱり疲れが出た」と話す。

 もちろん、今大会は不運な面もあった。4名の選手が新型コロナウイルスに感染。大会を追うごとに起用できる選手が減ってしまった。さらに、タジキスタン戦で退場処分の三戸舜介(新潟)は、準々決勝に続いて準決勝も出場停止。特にサイドハーフなどは手薄になり、選手の疲労度が抜け切らない状態でウズベク戦に挑むしかなかった。

 だが、それを言い訳にすることはできない。パリ五輪の最終予選を兼ねる2年後のU-23アジアカップでもレギュレーションは変わらず、大会途中に選手が離脱する可能性は小さくない。今後を見据えれば、疲労度が高くなる大会終盤をいかにして戦うかは大きなポイントだろう。

「100パーセントで戦えなかったというか、相手の勢いに飲み込まれたまま、90分間サッカーを続けてしまった。どこかのタイミングで自分からチームを盛り上げて、自分たちのパフォーマンスを今までの試合ぐらいに持っていけたら、また違ったのかもしれない。そういうところで後悔はあります」(藤田)

 今は突き付けられた現実を受け止めるしかない。百聞は一見に如かず――。2年後に向け、タフで苦しいゲームを味わえた経験はチームの財産になるはずだ。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

[試合情報]
AFC U23アジアカップ2022
3位決定戦
日本代表 vs オーストラリア代表
2022年6月18日(土)22時キックオフ
DAZN独占配信

【関連動画】本来の力を出し切れず…準決勝ウズベク戦、日本は0-2で敗戦
 

次ページ【関連動画】本来の力を出し切れず…準決勝ウズベク戦、日本は0-2で敗戦

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事