「モヤモヤがめちゃくちゃある」準決勝ウズベク戦、U-21代表10番・斉藤光毅の鬱憤晴らす活躍に期待。笑顔を取り戻すために――

2022年06月15日 松尾祐希

韓国戦は途中交代も「次を見据えたうえでの選択」(大岩監督)

決勝進出を懸けたウズベク戦で活躍が期待される斉藤。試合前日の全体練習後には、左サイドからの仕掛けを何度も確認した。写真:松尾祐希

 ウズベキスタンの地に降り立って2週間以上が経った。U-23アジアカップに参戦しているU-21日本代表は、サウジアラビア、UAEが同居する"死のグループ"を2位で突破。準々決勝ではイ・ガンイン(マジョルカ)らを擁するライバル韓国を3-0で撃破し、勢いに乗っている。現地時間6月15日には、開催国ウズベキスタンとの準決勝に挑む。

 練習から雰囲気の良さが伝わっており、ピッチ外でも笑顔が絶えない。斉藤光毅(ロンメル)も持ち前の明るいキャラクターを生かし、チームを盛り立てている。

 だが、背番号10を背負う男の胸中は穏やかではない。

 今大会は左サイドハーフのポジションでここまでの全4試合に出場。メンバーを大幅に入れ替えたグループステージ3節のタジキスタン戦以外は先発出場を果たしている。起用法を見れば、大岩剛監督から寄せられている信頼の大きさは一目瞭然だろう。だが、期待に応えられているかと言えば、そうではない。

 その要因の1つに、欧州組特有の難しさがある。今大会の開催時期はシーズンが終わった直後の6月。斉藤は短いオフを挟んで代表活動に合流したため、コンディションが万全ではなかった。試合の中で状態を上げながら、本来の自分を取り戻すしかなかった。

 大岩監督も斉藤の状態が整っていなかったことを理解している。だからこそ、コンディションを見極めながら、ピッチに送り込んできた。UAEとの初戦は早い時間帯にイエローカードをもらった影響もあるが、前半のみの出場。本来の状態には程遠く、試合後の表情も今までにないほど落ち込んだ様子が見えた。

 迎えた2戦目のサウジアラビア戦は61分で交代。ただ、初戦よりも身体が動き、得意のドリブルからチャンスに絡む場面も増えている。本人も試合後に「前回と比べたらだいぶ動けたし、ボールも良い形で受ける場面があった。前回よりは思うようにプレーできて、楽しめた」と話し、光が見えてきたのは間違いなかった。

 続くタジキスタン戦は58分から途中出場。相手のプレッシャーをかい潜りながらボールを運ぶだけではなく、周りを上手く使うシーンも見られた。

 GSの3試合を通じ、本調子の一歩手前あたりまでは来ていたはず――。少なからず、その3試合でコンディションを上げる作業は順調に進んでいた。

 だが、準々決勝の韓国戦。試合の入りで苦しみ、思うようにボールを受けられない。前半のみの出場となった一戦で、斉藤は「ボールを触ってリズムを作りたかった」と振り返り、「その後、だんだんリズムが出てきたところで交代になってしまった」と自身のエンジンが掛かり切らなかったことを悔やんだ。
 
 現状では4試合でノーゴール。「今大会はあまり笑顔になるシーンがない。モヤモヤする部分がめちゃくちゃある」と本人も話し、10番を背負う者として悔しさを滲ませる。だが、大岩監督の信頼は揺らいでいない。それは韓国戦を振り返った指揮官の言葉からもうかがえる。

「あの一戦が大事だということと、(途中交代も)次の試合を見据えたうえでの選択でもある」

 信頼してくれている監督の期待に応えるためにも、欲しいのは結果だ。ウズベク戦前日の全体練習後には、左サイドからの仕掛けを何度も確認する斉藤の姿があった。

 準決勝こそは――。

「気持ちが入る部分はあるけど、気負わずしっかりやっていきたい」

 目に見える結果でチームをファイナルに導くような活躍を見せれば、人を惹きつける屈託のない笑顔も戻ってくるはずだ。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

[試合情報]
AFC U23アジアカップ2022
準決勝
日本代表 vs ウズベキスタン代表
2022年6月16日(木)1時キックオフ
DAZN独占配信

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