「3バック」は森保Jの有効なオプションなのか? 市川大祐が見たガーナ戦

2022年06月13日 サッカーダイジェストWeb編集部

ガーナ戦でトライした3バック。人材は揃っている

ガーナ戦終盤には、3バックを試した森保監督。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 4-1で勝利を収めた6月10日のガーナ戦は、相手のコンディションやモチベーションの問題もあったように感じますが、キックオフ直後から堂安律選手が相手のSBの背後をとりに行く動きも2度ほどあって、背後への意識というのは徹底されていたように感じます。

 特に堂安選手は、外側に張っていて、中へ弧を描きながら相手の背中をとりに行く走り方が非常に良かった。ゴールに直結する動きで、中への意識をすごく感じられました。

 相手が5-3-2のような守備陣形の時に、相手がプレスもかけてこず、動き出すタイミングはとりやすいように感じました。

 5バックが低めの位置をとっていたので、相手ブロックの前まで、特にSBはフリーでボールを持てる時間も多かったですね。

 山根視来選手の先制点の得点シーンなどもそうですが、3人目の動きができていて、メンバーが代わっていてもチーム全体の連動性を感じました。

 6日のブラジル戦では、相手の試合巧者ぶりが目立ち、一見上手くやれているように感じた時間帯でも、勝負所を見極めた相手の駆け引きの上手さを感じました。伊東純也選手や古橋亨梧選手が速いなという感覚がなかった。相手にスピードを消されるというか、吸収されるというか。ブラジルの経験と駆け引きの上手さが目立ちました。

 一方で、ガーナ戦では、相手はアフリカの選手ならではの身体の強さがありましたが、海外でプレーする選手も多く、日頃から慣れている部分もあって、日本の選手たちが想定内でプレーすることができた。想定できることで、予測も立つし、次のプレーへの反応も良くなる。日本の経験値が感じられ、プレーも非常に良かった。
 
 そんなガーナ戦で終盤のわずかな時間でしたが、3バックにもトライしました。

 現在の森保ジャパンでは3バックに対応できる人材は揃っています。吉田麻也選手、板倉滉選手、冨安健洋選手、谷口彰悟選手に加えて、中山雄太選手と伊藤洋輝選手はCBとサイド両方に対応でき、高さ、スピード、足もとの技術という3バックをやるうえでの能力を持った選手が揃っています。実際にガーナ戦ではCBに伊藤選手、左のウイングバックに中山選手が入りました。

 3バックではこれまで4枚で守っていたスペースを3人でカバーしなければなりません。ただ強いだけでは守備範囲が限られてしまいますが、走力のある選手が揃っているのは強みですね。

 さらにサイドの選手でも対応できる人材がいます。スピードが武器で、ドリブルに特長があり、ウイングとしての役割をこなせる選手もいる。攻撃的に行くのならば、左は三笘薫選手、右に伊東選手が適任ではないでしょうか。

 守備的に行く場合は、左に中山選手や伊藤選手を配置。右の酒井宏樹選手や山根選手は守備的、攻撃的どちらの場合も対応できそうです。
 

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