サンフレッチェ広島は出場機会の少ない選手を中心にユースチームと練習試合（９－１で勝利）を行なった。この６月12日、前日のルヴァンカップ・プレーオフステージ第２戦の札幌戦で89分まで出場した満田誠は不在。ただ、売り出し中の大卒ルーキーを広島のミヒャエル・スキッベ監督がどう評価しているのか知りたかった。じっくり話を聞く機会に恵まれたので、練習試合後にトレーニング場で質問した。

「今、全然ダメなんです、全部ダメなんです（笑）」

　えぇ!?　と一瞬思ったが、ニンマリとした表情を見れば冗談なのはすぐ分かった。満田は前述の札幌戦、０－１のビハインドで迎えた87分に同点ゴールを奪っているし、リーグ戦ではチームトップタイの４得点を決めている。ダメなわけないだろう。本当の回答もしっかり返してくれた。
 

「非常に優れた選手です。彼の取り組む姿勢はすごくストイックですし、両足ともにテクニックがあって、両足で点を取れる。それから裏に抜ける能力もあります。対戦相手をリスペクトしている部分もありますけど、相手を恐れないのも良いポイントです」

　一度は冗談を言いながらも、きちんとした細かい評価を述べるあたりに、満田への愛情はたっぷりにじみ出ていた。おそらく本人にはさらに温かく接しつつ、的確に指導しているような気がする。

　満田に限らず、スキッベ監督の下で選手たちは皆、今季はかなり楽しそうにプレーしているように映る。ドイツ人指揮官の的確な指導はもちろん、この指導者から愛情を感じられるからではないだろうか。晴天とチームの雰囲気も相まって、久々に訪れた広島の練習場はとても晴れやかだった。

取材・文●志水麗鑑（サッカーダイジェスト編集部）

【PHOTO】広島に来場した"勝利の女神"本田望結さんを特集