「注目度が上がったのは良いこと」激戦必至の“日韓戦”、大岩ジャパンはパリ五輪出場に向け布石を打てるか【U-21代表】

2022年06月11日 松尾祐希

「勝たなければいけない試合のひとつ」

4強入りを懸けて韓国戦に挑む大岩ジャパン。指揮官は「注目度が上がったのは良いこと」と大一番に闘志を燃やす。(C)2022 Asian Football Confederation (AFC)

 U-21日本代表にとって、今回の日韓戦はパリ五輪出場に向けて布石となる一戦だ。

 ウズベキスタンで開催されているU-23アジアカップでは、グループステージの全日程が終わった。大岩剛監督が率いるU-21日本代表の戦績は、UAEとの初戦で2-1、続くサウジアラビア戦は0-0、最後のタジキスタン戦は3-0。グループ2位で決勝トーナメントに進出し、準々決勝の相手は韓国に決まった。

 大岩監督は決勝トーナメントで万全な状態を作るために、各自のコンディションを見極め、23名の力を結集させて戦ってきた。オフを挟んでの参戦となった斉藤光毅(ロンメル)、内野貴史(デュッセルドルフ)、小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)ら海外組もコンディションが上がり、最高の状態で韓国戦に挑めるのは間違いないだろう。

 長年ライバルとして鎬を削ってきた韓国と、4強入りを懸けて相まみえる。大岩監督は「注目度が上がったのは良いこと」と大一番に闘志を燃やす。タジキスタン戦後の会見では、韓国メディアからの質問に対し、明確な回答を避けた点からも臨戦態勢に入っていることが窺えた。

 選手たちも「だいぶ激しく当たってくるイメージがある」(加藤聖/長崎)と韓国戦に向けて準備を進めている一方で、特別な意識を持っているわけではない。「メディアや周囲が過剰に反応するかもしれない。でも、そういうのに左右されず、勝たなければいけない試合のひとつ」と畑大雅(湘南)が話す通り、至って冷静だ。

 もっとも、準々決勝で韓国と対戦できる意味は大きい。その理由は大きく分けてふたつある。

 1つ目は、チーム発足後に東アジア勢と初めて対戦できる点だ。中東勢とは今大会だけではなく、3月下旬のドバイカップでも顔を合わせている。ボールを動かすスタイルやフィジカルの強さなどを実際に体感し、どういう戦い方をしてくるか少なからず理解できた。

 しかし、韓国は中東勢とは違った特徴を持つ。フィジカルの強さはもちろん、球際の強度も今までの相手とは異なる。何より韓国は日本に対して負けられないという強い想いを心のうちに秘めているはず。今まで経験していないような激しいチャージなども含め、相手がどのようなスタイルで勝負に出てくるかを知る絶好の機会だろう。
 
 そして、もうひとつは、ライバルチームに与える影響だ。2年後にパリ五輪の出場権を懸けて行なわれるU-23アジアカップを見据え、相手に対して布石を打てる。韓国も今大会の映像などで分析してくるはずだが、ピッチの上で戦った経験は脳裏に焼き付く。

 だからこそ、日本は今回の戦い方がポイントになる。大岩監督が「我々のコンセプトは攻守において攻撃的に振る舞うこと」と話す通り、攻撃では最終ラインからのビルドアップやアタッキングサードでのフィニッシュに注力し、守備ではプレー強度を求めてきた。

 そうしたコンセプトを体現するのはもちろん、相手が嫌がるような試合運びで布石を打つことが求められる。実際にドバイカップではサウジアラビアと対戦しており、その時の戦い方が今回の対戦では少なからず生きたように思えた。

 相手が嫌がるような時間の使い方や選手たちのポジショニングなどを含め、"日本と対戦したくない"と感じさるのも日韓戦のミッションだろう。

 勝利にこだわる姿勢を崩さず、ピッチの中でいかに強さを発揮できるか。難しい試合になるのは間違いないが、大岩ジャパンは2年後を見据えながらベスト4進出のために全力を尽くす。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

[試合情報]
AFC U23アジアカップ2022
準々決勝
日本代表 vs 韓国代表
2022年6月12日(日)22時キックオフ
DAZN独占配信

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